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リアル脱出ゲームブックvol.3『滅びゆく魔法書からの脱出』レビュー

こんばんは、夜中たわしです。

毎作買っている「リアル脱出ゲームブック」の続編が出ました。タイトルは『滅びゆく魔法書からの脱出』です。

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さて本作、「リアル脱出ゲームブック」という名の通り……と言うべきか、まさに本から脱出するストーリーという潔さ。詳細は伏せますが、ある仕掛けも手伝って本作の没入度は頭一つ抜けてます。かなりおすすめ。前作から1年も経たずの出版でこのクオリティは嬉しい限りです。

あと1つ言っておくと、主人公は表紙中央の露出度の高い女性……ではなく、左上の杖を持ったやつです。

過去作を先に知りたい方は過去にレビューしているのでどうぞ。

ストーリー

まずは公式サイトのストーリーを引用。

激戦の末、魔王を討ち倒した勇者たち。しかし魔王が最後に唱えた禁断の呪文「フウジコメール」により彼らは古い魔法書に閉じ込められてしまった! 目を覚ますと、そこは何者かによって創造された本の中の世界。外から来た者は5日間しか生きのびることができないという。果たして勇者たちはこの魔法書の世界から無事に脱出することができるのか? そしてこの作られた世界に隠された秘密とは……?

RPGの世界観ながら、魔王を倒した直後からスタートする上に、冒険の舞台は本の中と、かなり特殊な状況。

これ早いとこ魔法書から脱出しないと命が危ないんですが、どうにも緊張感に欠けるというか、独特の軽いノリでストーリーが進行します。変わった語尾や口調の登場人物がいたり、重要アイテムや魔法名がかなり安直だったりも(これはいつもかな)。

この調子で最後までいくと、ちょっとやだぞ? と思いましたが途中から私が慣れてきたのかシナリオがシリアスがかってきたためか、気にならなくなりました。普通に人死にが次々出たりします。

終盤の怒涛の展開からのあの結末はかなり好み。謎解きの内容もシナリオにガッチリはまり込んでおり、ラストの謎が解けた時の爽快感は格別! 前作、前々作とはインパクトの方向性が異なり、「美しい……」と言って本を閉じることになるでしょう。

一応、リアル脱出ゲームの『魔王城からの脱出』シリーズと関連があるそうですが、特に気にしなくて大丈夫。私も遊んでません。RPG的なノリに抵抗がなければ問題なく楽しめます。

内容物

それっぽい絵柄の地図に始まり、魔法陣や魔法の鍵など、RPGっぽいアイテムが同梱されています。

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雰囲気が出ていいものです。

これらを利用して、召喚魔法や鍵開け、魔物の技を盗んで利用する……など、RPGらしい謎解きを進めていきます。これがなかなかに楽しく、なにより展開と謎解きの内容がマッチしているものが多くて素晴らしい。

なお本作、コピーなどを駆使すれば本体や付属品を傷つけずにプレイすることもギリギリ可能です。

ただプレイ感が結構損なわれる上、頭の中で紙を折ったり鍵を差し込んだりする必要があるので、難易度が結構上がります。普通に遊んだほうがいいかも。繰り返し遊びたい場合には、書き込む必要があるものはコピーして使い、やむなく折っちゃたものは後で広げときゃ大丈夫でしょう……。

難易度・プレイ時間

こういう謎解きの難易度ってどう表現すべきかいつも困るんですが、結構歯ごたえがありました。

公式も難しいと言っているようですし、そうなのでしょう。

プレイ時間は12時間以上かかりました。大体前作の倍くらいです。ページ数は増えてますが倍ってほどじゃないので、謎の難度と密度が上がったものと思われます。あるいは、私の能力が劇的に落ちたか。

そういや途中何度かハマってストーリーが進まなくなり、シラミ潰しに家々を訪ねて回ったりしました。特定の謎が解けない……ではなく、どこへ行っていいかすらわからずイベントが進まない、一昔前のRPGでたまに起こるやつ。これキツい。もう行かなくていいだろ、なんて思い込んでる盲点を突かれたりするんだよなあ……。

公式サイトにヒントがありますが、公開は10月1日から。前作までの流れと同じなら、かなり手厚い情報が載る……はず。ヒントが出るまでにクリアできれば多少の優越感が得られるので、自信のある方は急ぎましょう。

誤植に注意

ただ唯一残念な部分があって、それは初版に誤植があること……。

そのうち1つが結構致命的なポイントにあって、不必要に悩まされました。終盤でなんか変だぞ? これが答えじゃないのか?? と思った際は訂正内容を確認しましょう。ネタバレを気にしないならばプレイ前に見ても構いません……。

おわりに

と、初版には問題点があるものの、本作はかなりの傑作で本当におすすめです。

謎解き関連の本で何かいいものはないかと聞かれたなら、軽いものなら『5分間リアル脱出ゲーム』シリーズ、重めなら本作を挙げるでしょう。

興味をもったならぜひ遊んでみてください!

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