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謎解き+推理小説『リアル脱出ゲームノベル Four Eyes~姿なき暗殺者からの脱出~』感想

こんばんは、夜中たわしです。

いやあ、久々にSCRAPの作品を読んだなあ。それもなかなかの変わり種。

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ということで感想です。ちなみにクリアは割と前にしていた。

概要

本作はベースが推理小説で、その中にリアル脱出ゲーム系の謎が散りばめてある、という作り。なおページ数は400ページと大ボリューム。

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SCRAPの書籍関連だとまず思い浮かぶのはゲームブック系の作品(ルネと不思議な箱など)だけど、それらとはかなり毛色が違う。まずベースとして普通に推理小説があり、その章ごとに大きめの謎解きが1つ含まれている。謎はメインとなる事件に直接関わってくることもあれば、登場人物が個人的に悩まされているトラブルであることも。

とまあ、章にもよるけど基本的にシナリオと謎が強く連携しているのが本作の目玉。さらに謎は解いていくにつれて"物語がひっくり返る"(キャッチコピーより)……というコンセプト。

この推理小説+謎解きという構造。これは結構相性が良く感じた。ただ本作は謎解きを優先しすぎてシナリオ展開が超強引という印象を受けたな……。そのためか、推理小説視点と謎解き視点のどちらで受け取るかにより印象が結構変わる。今回はその両方の視点から感想を書いてみよう。

謎解き視点

謎解き視点で見ると、本作は"謎解きのおまけに大ボリューム推理小説がついてくる"という感じか。そう考えるとおまけがあまりにも豪華で、そこそこ満足度が高い。

まずストーリーに絡んだ文章題タイプの謎が新鮮で単純に楽しい。基本、謎解きによって直接的に問題が解決してシナリオが進行するので「謎を解くことで話が進んでる」感が強く、満足感がある。


そうそう、謎としては気になる点が一つ。全編通して、謎解きの都合なのか奇跡的な偶然が起きまくる! ネタバレになるためフワッとした書き方になけど、「謎がなんと偶然! こんな感じに仕上がっていました~~(宝くじ高額当選レベルの奇跡)」という事象を何度も目の当たりにする。

主人公まで「こりゃ偶然ですな」的なことを言いだす始末。なるほど一応認識してるのか……偶然ね。偶然。と納得しそうになるが、やはり度を越している。実は偶然ではなく何か大いなる意志によって必然になるよう仕組まれていた……なんて感じの理由付けもない。ただただものすごい偶然により洗練された謎が続く。


と、途中違和感もあるが最後のいわゆる大謎にあたるものは強烈な仕上がり。小説形式でなければ表現が難しいであろう形式で、単純な謎解きでは味わえないタイプの謎になっている。本作ではここが一番の醍醐味だろうな。

推理小説視点

さて続いて推理小説視点で見た場合、こちらは"推理小説のおまけに謎解きがついてくる"という具合になる。シナリオとしては予想以上に普通の探偵小説に寄せてあり、キャッチコピー通りのどんでん返しもあって、個人的には楽しめた。

ただ気になる点もそれなりにあって、やはり謎解きの導入が一番の原因になっている……。

まず謎解き用の伏線というか情報開示のために、謎の核心を避けて不自然一歩手前の会話が繰り広げられることが多い(何故か年齢そのものを言わず年齢差ばかり話したがるなど)。また解説部分ではあまりにも説明口調になりすぎていることも。

とはいえ謎解きを小説化し、その解説までも小説内で完了させるにはある程度仕方ないかな、とは思う。こうならざるをえない。


次に、本作は作中の大部分を"探偵が書いた手記"が占めるんだけど、「いつこんな懇切丁寧に描写する時間があったんだ??」というほどにクオリティが高い。

事件があったその日に、当日の状況から会話の細部まで詳細に小説形式でまとめ、さらにその日のうちに次なる事件に巻き込まれたりしている。後日まとめて書くような余裕もなさそうなので、どうやら人並み外れた速筆なのだ。しかも手書き……!!

またこの大ボリューム手記を作中の人物も読むのだが、この速度も爆速である。切羽詰まってる中でこの数百ページある手記を読者同様に全部読み、すべての謎を解いてしまっている。こちらもめちゃくちゃ優秀に違いない(執筆した探偵のほうが遥かに人間離れしているが)。


一方でここは良くできてるな~、と思ったのが、先述もした最後の大謎。これ普通の謎解きの枠を越えていて、本格的な「読者への挑戦」と言っていい。少々イレギュラーな形式ではあるけど。

「読者への挑戦」ってそう考えると謎解きと同じなんだよな。それまでの情報を整理して犯人なり何なりを推理するんだから。ここにおいては推理小説とリアル脱出ゲームは相性抜群、と言えるかもしれない。こんなにも自然と読者を挑戦する気にさせるのは類を見ないのでは。

難易度

最後に全体的な難易度について。なんとなくだけど、謎解きとしても推理小説としてもやや初心者よりの印象だった。

というのも、途中から章ごとの謎解きの答えが容易に想像できるようになってしまって。謎の種類は違えど、根幹となる思想がワンパターンなので、あ~、きっと答えはこういう流れなんだろうなー……と予想がついてしまう。

とはいえ、終盤の謎から最後の大謎にかけてはパターンから外れて歯ごたえが出てくる。が、私の場合偶然にも同系統のネタを使った推理小説に覚えがあったので、かなり早い段階で真相に気づいてしまった。これは有名作品なんで同じルートをたどる人もそこそこいると思う。

これらにより、私の場合「頼むから予想外れてくれーーーー!!」と思いながら読むことになった(予想は当たっていた)。

ということで本作、謎解き・推理小説ともに一定以上の経験があると退屈になる恐れあり。初心者向けかと思ったのはそのためです。はい。反面、知識なしから本作の結末を自力で導いたなら、めちゃ気持ちいいと思う。

おわりに

推理小説と謎解きの融合により歪みが出ている部分があるものの、コンセプト自体は成功していて細かい点さえ気にしなければ十分楽しめる。SCRAPの作品なんで、謎解き側に重きを置いてるのは正解だろうし。

かなり作るの大変だろうけど、このシリーズの次回作が出たら当然買うぞ。このフォーマットのポテンシャルはかなり高く感じたんで、本作の経験を踏まえて作るならぜひ読みたい。

次はこれを遊ぶぞ……。

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『5分間リアル脱出ゲーム人生』感想(シリーズ最高傑作)

こんばんは、夜中たわしです。

『5分間リアル脱出ゲーム人生』を買いました!

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タイトルが不思議な感じで若干不安を覚えますが、杞憂でした。これは3作目にして、出ちゃいましたよ。シリーズ最高傑作が……。

りあえずクリア時のツイートでも。

前作までの感想はこちら。

概要

今まで同様、10本+最終問題構成のフルカラー。

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今回も全然5分じゃ解けないですね。唯一「間に合った!」と思った問題がありましたが、もう一度全部解き直さないとダメなやつでしたよ。たまらん……。1問でも5分以内に解ければ自慢できると思います。

個別感想(謎のネタバレなし)

1つずつ簡単に感想です。

謎についてのネタバレはほぼありませんが、気になる方はクリア後にお読みください。

なお書籍には直接書き込まずに遊んだので、プレイ時間は若干長めになってます。

密室トイレからの脱出

  • いきなり15分かかった。1問ハマってしまい、大幅ロスしたのが原因。

  • 初版の場合、誤植があるので正誤表を見たほうがいい。

  • 本質と何も関係ないんだけど、普通にトイレに閉じ込められるの超嫌だし謎解きもしたくねーなあ……って思った。謎解き部はトイレに謎を作るんじゃない。

肝試しからの脱出

  • 7分でクリア。おしい。

  • 大謎が少し拍子抜けだった。小謎を解いた成果があまり発揮されないというか……。

大いなる疑惑からの脱出

  • 10分でクリア。

  • 推理モノ系。オチの一部は好みだが、そこに至るシナリオの流れがどこか雑というか、強引。謎解き都合で作ったためか……?

ハイジャックからの脱出

  • 14分でクリア。直接書き込めば半分以下の時間で解けると思う。

  • 主人公の奥さんがハイジャックの人質になるんだけど、人質なのに超手の込んだ謎(解くと犯人の情報が得られる)を作って渡してきて笑った。有能すぎるだろう。

  • マス目をどう通るかという謎があって、直接書き込みたくないから紙乗せて上からなぞったんですよ。そしたら焦ってたためか、手が滑って本自体にボールペンで書き込んでもうた……。鉛筆でやれよ自分。

独身からの脱出

  • 25分でクリア。ボリュームが多すぎる。

  • 本当に急いで解くなら、始めのクロスワードを解くときに関係なさそうなとこ無視するんだろうな。時間制限のある公演ならともかく、家で遊ぶなら我慢できない。順番に隅々まで解きたくなってしまう。

  • 大謎後におまけの謎があった。こういうの嬉しい。一部の人にしかわからない例えをすると、逆転裁判で裁判後のエピローグ中に出されるちょっとした謎みたいな感じ。あれ好き。

バッドエンドからの脱出

  • 10分でクリア。

  • 絵本がテーマなためか絵が多く、全体的な完成度が高く感じた。オチの仕掛けも好み。

迷走する車からの脱出

  • 19分でクリア。かなり苦戦した。

  • 謎を解くにあたり、地図を脳内でごねごね操作する必要があって、これはキツい。苦手。

  • 地図に少し曖昧な部分があり、解いてて不安になった。もしや解釈次第で答えに辿り着けないやつなんじゃないかと。しかし進めていくと、そんなのは気のせいだったことがわかる。単に私の心が弱かったのだ……。

無人島からの脱出

  • 15分でクリア。

  • 大謎がわからず、ヒントを見たらガッツリ答えまで見てしまった。なのでクリア失敗である。しかも15分で答えを見るのは早いぞ。何やってんだまったく……。

迷子からの脱出

  • 27分でクリア。

  • 完全に暗号解読。根気が必要だが、徐々に解読できていくのは面白い。

  • この謎に関しては、直接書き込むかあるいはコピーを取って遊んだほうがいい。別紙に解読内容をメモしていくと、恐ろしいほどに時間がかかるし、ストレスがすごい。

  • エピローグに伏線っぽい謎があったが、回収されてない気がする。あれなんだったんだろ。解いて終わりってだけ?

エレベーターからの脱出

  • 38分でクリア。8倍も時間がかかるとは……。

  • 答えを聞いても納得できない謎が数問あった。あまりにハマった場合、ヒントを見たほうがいいかも。

  • しかしエレベーターが停止したのに、謎を解かないとコールセンターに繋がらないシステム、販売しちゃダメだろ。

最終問題

  • 40分でクリア(たぶんこれは5分想定じゃないが)。

  • 冒頭触れたとおり、素晴らしい謎。設定が良い。

  • まず始めのキーワードを導いた時点での鳥肌がすごい。そこからはもう夢中で、ストーリー中に何度となく違和感があったのはこのためか……と、記憶を頼りに情報を探し回ることに。

  • いわゆる「破壊的操作」が必要になった。一応回避可能だけど、やっちゃった。後悔はしてない。

おわりに

以上、1問たりとも5分では解けず、1つは答え見てしまいました。惨敗です。

ですがまあ、最終問題はノーヒントで解けたので満足。これだけのためでも買った価値がありました。正直やや微妙な謎もいくつかありましたが、これだけで全部チャラ。

この流れだと、次回は本作を超えるもの凄いやつが出るに違いないので、また期待して待ってます。

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耳で読む本「オーディオブック」を今こそ始めよう(audiobook.jpでキャンペーン中)

こんばんは。夜中たわしです。

オーディオブックという「聴く本」のサービスをご存知でしょうか。

以前に紹介記事を書いています。

現在、オーディオブック配信サービスの大手audiobook.jp(旧FeBe)で、聴き放題サービスが2ヶ月間無料になるキャンペーンをやっています(通常は1ヶ月のみ)。

※本キャンペーンは終了しました

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期日は明日(9/22)の23:59まで。前回のキャンペーン時もそうでしたが、またギリギリで記事にして申し訳ありません。

このキャンペーンは分かりやすいです。明らかに得なのだから……。2ヶ月と期間が長いので、相当量が聴けることでしょう。2ヶ月以内に解約すれば、料金はかかりません。

対象オーディオブック

聴き放題の対象となるオーディオブックの例は、下記のような感じです。以前キャプチャしたものなので、聴き放題対象から変更となっている可能性もあるのでご了承ください。

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上記はほんの一部で、もちろん他にもまだまだあります。

おわりに

未体験の方、少しでも興味があれば、いや興味がさほどなくとも試してみましょう。

通勤通学中や家事育児中など、本が広げられない状況でも読書ができるというのは革新的で、単純に本を読める時間がめちゃくちゃ増えます。やらなきゃ損。

始めましょう。とにかく。

最後に、私のおすすめを紹介しておきます。聴き放題で興味のあるオーディオブックが尽きて、次に何を聴くか迷ったときにどうぞ。

著者:伊藤計劃
再生時間:10:42:17
著者:ジェイムズ・P・ホーガン,池央耿/訳
再生時間:09:55:45
著者:水野敬也
再生時間:07:31:04
著者:岸見一郎,古賀史健
再生時間:07:16:33
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リアル脱出ゲームブックvol.3『滅びゆく魔法書からの脱出』レビュー

こんばんは、夜中たわしです。

毎作買っている「リアル脱出ゲームブック」の続編が出ました。タイトルは『滅びゆく魔法書からの脱出』です。

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さて本作、「リアル脱出ゲームブック」という名の通り……と言うべきか、まさに本から脱出するストーリーという潔さ。詳細は伏せますが、ある仕掛けも手伝って本作の没入度は頭一つ抜けてます。かなりおすすめ。前作から1年も経たずの出版でこのクオリティは嬉しい限りです。

あと1つ言っておくと、主人公は表紙中央の露出度の高い女性……ではなく、左上の杖を持ったやつです。

過去作を先に知りたい方は過去にレビューしているのでどうぞ。

ストーリー

まずは公式サイトのストーリーを引用。

激戦の末、魔王を討ち倒した勇者たち。しかし魔王が最後に唱えた禁断の呪文「フウジコメール」により彼らは古い魔法書に閉じ込められてしまった! 目を覚ますと、そこは何者かによって創造された本の中の世界。外から来た者は5日間しか生きのびることができないという。果たして勇者たちはこの魔法書の世界から無事に脱出することができるのか? そしてこの作られた世界に隠された秘密とは……?

RPGの世界観ながら、魔王を倒した直後からスタートする上に、冒険の舞台は本の中と、かなり特殊な状況。

これ早いとこ魔法書から脱出しないと命が危ないんですが、どうにも緊張感に欠けるというか、独特の軽いノリでストーリーが進行します。変わった語尾や口調の登場人物がいたり、重要アイテムや魔法名がかなり安直だったりも(これはいつもかな)。

この調子で最後までいくと、ちょっとやだぞ? と思いましたが途中から私が慣れてきたのかシナリオがシリアスがかってきたためか、気にならなくなりました。普通に人死にが次々出たりします。

終盤の怒涛の展開からのあの結末はかなり好み。謎解きの内容もシナリオにガッチリはまり込んでおり、ラストの謎が解けた時の爽快感は格別! 前作、前々作とはインパクトの方向性が異なり、「美しい……」と言って本を閉じることになるでしょう。

一応、リアル脱出ゲームの『魔王城からの脱出』シリーズと関連があるそうですが、特に気にしなくて大丈夫。私も遊んでません。RPG的なノリに抵抗がなければ問題なく楽しめます。

内容物

それっぽい絵柄の地図に始まり、魔法陣や魔法の鍵など、RPGっぽいアイテムが同梱されています。

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雰囲気が出ていいものです。

これらを利用して、召喚魔法や鍵開け、魔物の技を盗んで利用する……など、RPGらしい謎解きを進めていきます。これがなかなかに楽しく、なにより展開と謎解きの内容がマッチしているものが多くて素晴らしい。

なお本作、コピーなどを駆使すれば本体や付属品を傷つけずにプレイすることもギリギリ可能です。

ただプレイ感が結構損なわれる上、頭の中で紙を折ったり鍵を差し込んだりする必要があるので、難易度が結構上がります。普通に遊んだほうがいいかも。繰り返し遊びたい場合には、書き込む必要があるものはコピーして使い、やむなく折っちゃたものは後で広げときゃ大丈夫でしょう……。

難易度・プレイ時間

こういう謎解きの難易度ってどう表現すべきかいつも困るんですが、結構歯ごたえがありました。

公式も難しいと言っているようですし、そうなのでしょう。

プレイ時間は12時間以上かかりました。大体前作の倍くらいです。ページ数は増えてますが倍ってほどじゃないので、謎の難度と密度が上がったものと思われます。あるいは、私の能力が劇的に落ちたか。

そういや途中何度かハマってストーリーが進まなくなり、シラミ潰しに家々を訪ねて回ったりしました。特定の謎が解けない……ではなく、どこへ行っていいかすらわからずイベントが進まない、一昔前のRPGでたまに起こるやつ。これキツい。もう行かなくていいだろ、なんて思い込んでる盲点を突かれたりするんだよなあ……。

公式サイトにヒントがありますが、公開は10月1日から。前作までの流れと同じなら、かなり手厚い情報が載る……はず。ヒントが出るまでにクリアできれば多少の優越感が得られるので、自信のある方は急ぎましょう。

誤植に注意

ただ唯一残念な部分があって、それは初版に誤植があること……。

そのうち1つが結構致命的なポイントにあって、不必要に悩まされました。終盤でなんか変だぞ? これが答えじゃないのか?? と思った際は訂正内容を確認しましょう。ネタバレを気にしないならばプレイ前に見ても構いません……。

おわりに

と、初版には問題点があるものの、本作はかなりの傑作で本当におすすめです。

謎解き関連の本で何かいいものはないかと聞かれたなら、軽いものなら『5分間リアル脱出ゲーム』シリーズ、重めなら本作を挙げるでしょう。

興味をもったならぜひ遊んでみてください!

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謎解きフォトブック『まめたが行く』レビュー

こんばんは、夜中たわしです。

本日は謎解きフォトブック『まめたが行く』の紹介と感想をお送りします。

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本作は、チワワの写真集付きの謎解きゲームです。

いきなりですが、謎の書かれてないページを少し紹介しますと……

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こんな感じ。比率的には、ほとんど写真集。こんな謎解き本あります??

こちら、製作元であるMOVIE ROCK様からレビュー依頼ということで提供いただきました。ちなみにこのチワワは、製作者さんの愛犬だそうです。

完全に、犬(特にチワワ)と謎が好きな方向けの作品ですね。

概要

冒頭で紹介した写真の通り、ざっと見ると普通にフルカラーの写真集です。全92ページとボリュームもそれなり。

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で、たまに謎解きも登場します。そうそう、ちょっと見えてる右の謎、物理的に付箋みたいなのが貼ってあって驚きましたね。手が込んでる。

謎解きと写真集部分は関連しており、写真に含まれる要素を謎解きに利用することもしばしば。単なる写真集でないところは期待通り。謎解きに詰まったら、パラパラとまめたの写真を眺めれば何か気づくかもしれません。

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謎解きは全3ステージで、それぞれ封印されています(前のステージの答えが書いてあるため)。ステージごとに3つほどの謎があり、キーワードを導き出せば次へ進める……という感じ。


実際遊ぶには、まず指定のサイトにスマホからアクセスする必要があります。

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すると、まめたが暖かく出迎えてくれるので……

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指示に従い、本の謎を解いてキーワードを入力することでステージを進めます。

ヒントもスマホから参照することができます。ヒントはかなり手厚く、ほぼ答えまで書かれているので、完全に詰まるようなことはないでしょう。

感想

私の場合、ゆっくりめに遊んで、クリアまでは約2時間でした。

過去の作品と比べると、謎のボリュームも難易度も控えめな作りでした。特にステージ2の途中まではサクサクで、一瞬で解けるものも。

ちょっと物足りないな~、と思ってましたが後半は幾分か難易度が上がり、閃きや発想の転換を要求される問題も登場。そして最終問題は一筋縄ではいかない骨太な内容で、一度騙されました(大体いつもそう)。

全体的に初心者向けですが、一部の問題と最終問題は手応えがあり、クリア時の満足度は高かったです。一番テンションが上ったのは、あれを××したシーン(ネタバレに付き何も書けない)ですね。先入観を突いてくる仕掛け、かなり好き。

1つ気になったのは、本に直接文字等を書き込んで解きたくなる問題が登場するんですが、フォトブックにそんなことするのは抵抗があるという……。まあ、書き込み必須の問題はないので、頑張って別の紙と想像力を使えば、どうにかなります(私は書き込みませんでした)。大丈夫!

おわりに

本作は以前からイベントなどで配布されていたんですが、好評につき一般発売することになったとのこと。発売日は、本日(2019/7/27)です。

購入はボードゲーム関連の店舗(公式サイトを参照ください)もしくはAmazonからどうぞ。

関連作も興味がある方は、こちらのリンクからご確認ください(Amazon販売分)。

過去作のレビュー記事はこちらです。

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オーディオブックの無料体験でポイントを貰おう(audiobook.jp)

こんばんは。夜中たわしです。

※本キャンペーンは終了しました

オーディオブック配信サービスの大手audiobook.jp(旧FeBe)で、聴き放題サービスを無料体験するとポイントが貰えるキャンペーンをやってます。

オーディオブックってかなり便利なんですけど、今ひとつ魅力が周知されていないのか、多くの人が会員登録の前にUターンしてる気がします(偏見)。このキャンペーンが体験のきっかけになればと思います。

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期日は当記事の投稿日(7/9)の23:59まで。ギリギリに記事にして申し訳ない。急げ!!

なお登録者だけでなく紹介者(私)もポイントが貰えます。ありがたいことですね。助かります!

対象オーディオブック

聴き放題の対象となるオーディオブックの例を紹介したいんですが……スマホのアプリからじゃないと見ることができないんですよね。仕方ないので、アプリでキャプチャした画面を貼るという作戦を取ります。

なお画像は2019/07/09現在のもので、今後聴き放題対象から変更となる可能性もあるのでご了承ください。

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上記はほんの一部で、もちろん他にもまだまだあります。

何か1冊でも興味があれば、30日間は無料で聴けるので試して損はないです。今なら500ポイント貰えるんで聴き放題対象外のオーディオブックも安く買えますし、よく500円セールもやってるんで、その時なら無料で手に入ります。始めましょう。

audiobook.jp

おわりに

宣伝だけの記事になってしまいましたが、移動中や家事育児など、手が使えない時にも読書ができる、というのは、合う人にはかなり合います。一度お試しあれ。

完全に余談ですが、ここのところ息子の手足口病が伝染って大変な目を見ていました(後日記事にします)。

その間に虐殺器官のオーディオブック(注:聴き放題対象外)を聴いてみたんですが、序盤に残酷なシーンが続いて、聴くの中断しましたね。病気のときは爽やかなオーディオブック(?)を聴いたほうがいいかも。


虐殺器官
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リアル捜査ゲームブック『歌舞伎町探偵セブン BLACK FILE』感想

こんばんは、夜中たわしです。

リアル捜査ゲームブックの後編が発売されたのでレビュー行きます。

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概要

本書はとある探偵社の新人となって、事件を捜査していくゲームブック……の後編。実際に歌舞伎町で行われていたイベントの書籍化にあたります。

どういう書籍かは前編のレビューで書いてるので、そちらをご参照ください。前編も後編も大体仕組みは同じです。


前編同様、LINEやネットを利用して物語を進めるシステムが秀逸で遊びごたえがありました。書籍のためどうしてもイベントと比べると見劣りするものの(むしろイベントが凄すぎる)、家で遊んでも楽しめる工夫は随所に感じられます。

急いで作ったのか、前編以上に粗のようなものが散見されましたが、全体的な満足度は後編の方が高かったです。詳細は後述します。

個別感想

ここからは簡単に、事件別の感想です。

ストーリーの核心について記載はしませんが、展開について多少のネタバレはあります。気になる方はご注意を。

CASE4 心霊マンション死体消失事件

  • タイトル通り、心霊系の推理もの。捜査は主に発明品(常軌を逸した性能のものだらけ)で行う。発明品によるぶっ飛んだ捜査はなかなか見もので、楽しい。

  • 序盤、世にも奇妙な物語みたいな話か? と思ったが、そこまで奇妙じゃなかった。発明品を除けば非現実的なことは起こらない。そんなには。

  • いくつか怪談を聞くことになる。「さまよう霊」が一番好き。意表を突かれた。

CASE5 整形アイドル恐喝事件

  • この章の相棒は「金庫破り探偵」。まずは泥棒の依頼を受ける(いいのか?)ことから大きな事件に巻き込まれる。

  • 本格推理風のストーリーで、前編も含めて一番面白かった。あっと驚く展開もあり、クライマックスでは犯人の名前入力に加え、さらに根拠の入力までさせられる。こう、自由入力のテキストで犯人を指摘するやつってたまらなく好き。

  • 契約者にプレイヤーの名前を書く流れがあるが、書かれた名前が「新人探偵」。明らかに偽名だがいいのか。

  • 書籍に「店の奥に座った常連客」とあったが、動画内の常連客はめちゃ手前に座っていた。

  • よろず屋の人、動画だとどう見ても女性なのに書籍に戻るとセリフはオッサン。前編でも同様のケースがあったけど、書籍と動画は並行して作成したのかな? それも修正が間に合わない段階で??

  • イベントでは盛り上がりポイントと思われるシーン、動画見てたらプレイヤーの分身(手しか見えない)が勝手に解決した。まあ物理的な鍵開けを書籍で体験できるわけないから仕方ないか……。

  • これまでの物語の中に答えはある! 推理してみろ!! という感じの、いわゆる「読者への挑戦状」が書かれたページがある。いいものだ。

  • 上記の「読者への挑戦状」、ページの挿入位置がおかしい気がする。挑戦状の前のページにとある謎があり「指示があるまで(≒謎が解けるまで)次のページに進まないこと」と書かれているが、どう考えてもこれが挑戦状が指している謎。つまり、謎を解いた後でないと挑戦状が読めなくなっている。なんで????? なにか勘違いしてるのかなあ。でも挑戦状のページ以降に謎はなくて、読むだけでエンディング一直線なんだよなあ……。

  • ストーリーや構成がいいだけに、上述したような細かな粗が気になった。

CASE6 恋するレバー教団・連続失踪事件

  • 怪しげな教団の暗躍を、主にハッキングで解決する話。

  • 謎解きの都合上か、対象製品の型番がわかればハッキングを仕掛けられるという、恐るべき技術が登場。ハッキングはマニュアルをもとに簡単な謎解きをするだけで完了する。

  • ハッキングの1問目、マニュアル無しで解けちゃった(マニュアルの意味がぱっと理解できなかった)。

  • 「絶対に目をつぶろう」というシーンがあるが、絶対に目をつぶったほうがいい。イベントに参加してるつもりで遊ぼう。

  • 付録にバングルがあるが、存在が謎。書籍で必要か……?

  • ストーリー上、CASE5と少しだけ絡みがある。珍しい。時系列的にCASE6の方が先なのか?

  • 肝臓が登場する。

  • 一番の目玉イベントが、書籍化に伴い緊張感のないものと化した……と思ったが、別の意味でゾッとさせられた。

おわりに

前編より楽しめたので、買って正解でした。

しかし構成上気になる点が多く(特にCASE5)、頻繁に気が散ってしまう点は残念。素材は良いので、これは改善して欲しいなあ……。

そういや今後を匂わす伏線が多く、続編を期待させる部分がありました。もしかすると本書の売上次第で続編のイベントを開催したりする、のか??

であれば今度こそ参加したいけど、現状は息子(1)と娘(0)がいるんで……次回も書籍版で、いいです。

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前後編を両方買えば、全員プレゼントのキャンペーンをやっているので、興味を持ったなら早めにどうぞ。

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リアル捜査ゲームブック『歌舞伎町探偵セブン GOLD FILE』感想

こんばんは、夜中たわしです。

「リアル捜査ゲームブック」という、一風変わった書籍がSCRAPから出てます。

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ん? 捜査? 脱出や謎解きはどうした? と思いつつも「実際に歌舞伎町で行われていたイベントの書籍化」だと知って興味を持ち購入。買った後に気づいたけど、これ前後編に分かれてます。これは前編。

なお私は実際のイベントには参加しておらず、そもそも歌舞伎町についてもよく知らず、何か東京にあるアブないところなのでは? という印象しかありません。よろしくお願いします。

概要

本書はとある探偵社の新人となって、事件を捜査していくゲームブックです。

「リアル"捜査"ゲームブック」ということで謎解き的な要素は少なめ。推理系の思考を求められることと、あとミニゲームのようなものを遊ぶことが多いです。

かなり特殊なゲームブックになっていて、まず目を引くのはLINEを使うってところ。

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本を読み進めるのが基本ですが、要所要所で捜査LINEというアカウントとメッセージをやり取りして進めていく必要あり。

頻繁に行うのは調査に応じた行き先の入力。

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これには同梱のマップが必要になってきます。だいぶ進めてから気づいたけど、これは切り取り線が入ってるので切り離したほうがいいです。でないとかなり遊びづらい。

移動後には実写のムービーが流れることも多く、実際に捜査で場所を訪れているような臨場感があります。当然会話もしますが、プレイヤーの分身(手しか見えない)は字幕で喋ります。

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このシーン、実際のイベントだと本当にキャバクラを訪問するんですよねこれ。正直こう……リアルなコミュニケーションは苦手なんで、私は動画でかまわんです。

各章のオープニングとエンディングではアドベンチャーゲームのような小芝居が流れます。

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見ての通り、同僚の探偵たちはアニメやゲームのキャラのような存在です。章ごとに別の探偵と行動を共にすることに。

そうそう、毎度オープニングアニメも流れます。

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話を進めていくと、登場人物のLINE IDを貰うことも。

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中身はもちろんBOTで単純な作り。とはいえメッセージを入力すると人間らしい返事があるのは、一緒に捜査を進めているような錯覚を感じるのに十分。これはなかなかいいですよ。単なる本だとキャラクターは返事しませんからね。


残念に感じたのは、どうしてもリアルイベントの劣化版に感じられてしまう点。まあ仕組み上仕方ないですが。

元ネタのイベントは写真を見せての聞き込みに始まり、歌舞伎町だけあってか捜査のためキャバクラやホストクラブに入る必要も出てくる。さらには敵アジトへ侵入したり、時に怪しげな商品の運び屋をさせられることも。

当然ながら事件の登場人物(演者さん)と直接やりとりする必要があり、アドリブなども交えてそのキャラクターになりきった演技をしてくれるそうな。

まるで探偵モノのゲームに入り込んだかのような非日常を味わえる。それが「リアル捜査ゲーム」。

これが本書「リアル捜査ゲーム"ブック"」になるとどうなるか? というと……当然ながら先述したキモの体験部分が全部バッサリとカットされちゃってる状態に近いです。

ムービーやらLINEやら、"実際に捜査してる気分になる工夫"は随所に感じられるんですが、やはり本当のイベントとは全然違いますね。

本来であれば試行錯誤して緊張感のあるやり取りをする部分が、本書だとムービーでプレイヤーの分身(手しか見えない)が勝手に解決させてたりするし……。気になった回数は数えるほどですが。

でも書籍にも計り知れないメリットがあります。それは怪しげなところに実際に行って緊張する必要もないし、演者さんとやりとりするコミュ力がなくても大丈夫! あとはイベントと違って、終了する心配もなし!(LINEやYouTubeがサービス終了するとダメですが)


……とまあ「イベントの書籍化」ということさえ意識しなければさほど問題なく楽しめるが、実際のイベントを過度に想像してしまう人は結構気になるであろう、そんな本。

個別感想

ここからは簡単に、事件別の感想です。

ストーリーの核心について記載はしませんが、展開について多少のネタバレはあります。気になる方はご注意を。

CASE1 No.1キャバ嬢殺人事件

  • キャバクラを訪ねることに始まり、聞き込み、運び屋、潜入などの展開あり。イベントで実際に体験してみたい要素の応酬。

  • 新しい場所を訪れる際などに、導入を動画で見る→続きを書籍で読む、という形式が多いが、動画と書籍内で口調が全然違うキャラクターがいた。いきなり人格が変わったか!?

  • 血なまぐさい展開がある。痛そう……。

  • ストーリーより、体感イベントの楽しさを重視しているように感じた。でも本当の体感はできないんだけども……。

CASE2 裏カジノ・イカサマ事件

  • リアル捜査ゲームの中でも異質な作品。ギャンブルがテーマのためか、要所要所で賭けゲームに参加させられる。動画を利用するものや、LINEでのやり取りが必要なものも。

  • LINEで送られてくる画像がどこで撮影されたものか答えるやつが面白かった。これ使用デバイスがPCかスマホかで難易度が全然違うと思う。PCの方がはるかに簡単。

  • ゲームに勝ったかどうかは自己採点のため、イカサマし放題。いいのか。

  • ゲームの結果によって付録のスクラッチシートを削る必要があるが、別に削らなくても進めるっちゃ進める。

  • 最後の大勝負はヒリヒリした。動画でこれだから、イベントだと緊張感が半端なさそう。

  • 血なまぐさい展開、この事件にもあった。

  • ゲームを複数プレイすることになるので、本書の中では最も体感的な要素が強い。

CASE3 ホストクラブ偽札事件

  • 謎の言語での会話、偽造した商品を見せるなど、これまた現実にやり取りしてこそ盛り上がるシチュエーションが多数。

  • イベントでは自分で頑張る部分を、ムービー内でプレイヤーの分身(手しか見えない)が勝手にやっちゃってた。仕方ない。

  • 一部わからないまま強引に進めてみたところ、特に問題なくクリアしてしまった上、答えも分からなかった(日倉の出身地)。何か見落としたか?

おわりに

1章あたり1~2時間のボリュームで、特に詰まることなくクリアできました。難易度としては低め。

内容としては何度か書いた通り、どれも実際のイベントなら盛り上がるんだろうな~、という印象が拭えません。どうしても脳裏によぎってしまう。そういう意味では「今後こういうイベントがあれば行ってみよう」と思わせる書籍としては100点かも。

とはいえ、色んな理由でイベント参加が難しい人や、コミュニケーションが苦手な人でも遊べるという点は素直に喜ばしいです。私の場合、過去にイベントでドSの警官役の人に圧迫面接を受けてから、誰かと対決するフェーズのあるイベントは尻込みしてしまうんですよ……。

いずれにせよ、LINEにムービー、また時にはネットでの検索なども利用して捜査を進める、なかなか斬新な作りのゲームブックであるのは確か。一風変わった遊びをしたいなら全然おすすめです。

後編のBLACK FILEには、特に評判の良かった事件が収録されているようなので、結構楽しみ。

追記:後編の感想書きました。

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こんばんは、夜中たわしです。

『5分間リアル脱出ゲームR』を買いました!

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前作に勝るとも劣らない内容で満足でした。前作の発売から半年程度しか経っていませんが、これからもガンガン出していくつもりなんでしょうか。すばらしい。

前作についての記事はこちら。

概要

前作と同じく、10本+最終問題構成のフルカラー。

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前作はほとんどが5分で解けませんでしたが、今作は一体どんな感じなのか……と思っていると、

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いきなり5分では無理なやつもあるって宣言されていました。

いさぎよい。

個別感想(謎のネタバレなし)

前回のように、1つずつ簡単に感想です。

謎についてのネタバレはほぼありませんが、気になる方はクリア後にお読みください。

なお書籍には直接書き込まずに遊んだので、プレイ時間は若干長めになってます。

ある謎解き本からの脱出

  • いきなり5分どころか30分かかった。

  • どの問題にも言えるが、小謎を瞬間的に解いていかないと5分で解くのは到底無理。

  • わからない謎を無視して突っ走れば、運が良ければ解ける。

  • 大謎にもハマった。というか早々に着想は合ってたのに、メモした自分の字が汚くて答えにたどり着けなかった。丁寧に書こう……。

  • 大謎の仕掛けは好き。気づいた時「これやっていいの!?」って思った。(冷静に考えると全然やっていい)

  • ストーリーは平凡で、「1つめの謎」って感じ。

不思議な子供部屋からの脱出

  • まあまあスムーズに解けた……と思ったものの、時計を見ると20分ほど経過してた。普通に10分以上かかるボリュームと思われる。

  • 子供部屋の様子が表現されていて、そこに謎が散りばめられているのがいい。閉じ込められているムードが出る。

  • ストーリーはホラーテイスト。文字数の都合からか、かなりの駆け足で話が終わる。おかげで感情移入がほとんどできなかったけど、いい話っぽいムードは受け取った。

秘宝眠る島からの脱出

  • かなりスムーズに解けたけど、10分かかった。たぶん、本に直接書いて解けば5分に間に合う。

  • 大謎の仕掛け、ストーリーでの伏線が回収されて気持ちよかった。

あるバースデーレターからの脱出

  • 一番ボリュームがある。30分かかった。

  • いきなり9×9のクロスワードパズルが登場。これで10分くらい持ってかれる上に、まだまだ問題が続く。他のカギの内容を使わないと解けない、一癖あるクロスワードは楽しい。

  • 大謎の仕掛け、気づいた時は気持ちよかった。しかしその工程の多さに「まだあんの!?」とも思った。

  • 誕生日プレゼントの謎を解いただけで、別にどこからも脱出してない。もしや気づかないうちに、何かしらから脱出したのかなあ……?

ある白昼夢からの脱出

  • 特に大きくハマることもなくクリアしたが、それでも15分かかった。

  • 謎もストーリーも平凡なものの、安定した面白さ。はじめに解いた「ある謎解き本からの脱出」に雰囲気は似てる。

奇妙な盗難事件からの脱出

  • 最後に少し悩んだものの、8分ほどでクリア。これは珍しく5分で解けるタイプの謎っぽい。

  • 推理ものっぽいストーリーで、個人的には本書で一番好きな謎。オチもぶっ飛んでいて最高。この謎のために買ってほしい……5分程度で終るけど。

検索エンジンRAINBOWからの脱出

  • 10分でクリア。これも頑張れば5分で解ける気がする。

  • 虹色がテーマのため全体的にカラフルで、解いてて楽しい。最も全ページカラーの恩恵を受けてる謎。

  • 5分以内に謎が解けないと、検索エンジンが個人情報をネット社会に垂れ流す!……というストーリー。この強引な展開は好き。私の場合だと、間に合ってないので垂れ流されちゃってる。

うだつのあがらないミュージシャンからの脱出

  • 15分でクリア。うまくいっても10分程度かかりそう。

  • 2フロア分の間取り(上面図)が登場する。「不思議な子供部屋からの脱出」と同じく、実際に閉じ込められてるムードが感じられて、良い。

  • 途中、ミスリードに思いきりハマった。あの作りは上手い。

雨上がりの世界からの脱出

  • 10分でクリア。

  • 謎解きの全体的な流れが洗練されていて好き。前作にもこういう系あった気がする。

  • 大謎の答えが微妙な文字列のため、合ってるのか不安になって答え見た(合ってた)。

  • 特定の絵が何なのか分からなくて困った。

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なんだこれ??

終わらない初恋からの脱出

  • 15分でクリア。

  • この謎も上記「雨上がりの世界からの脱出」のように洗練された作り。

  • シナリオもかなり手が込んでいるように見え、手間暇が惜しみなく投下されてることが伺える。10問目にふさわしい。

最終問題

  • 10分でクリア。下手するとこれが一番5分で解きやすいかも。

  • かといって簡単ではなく、かなりクセのある問題。

  • 途中出てきた「こじ開けろ」的なワードで混乱した結果、本を破壊してしまいそうになったものの、なんとか回避。皆さん。破壊しなくても謎は解けます。ご安心ください。

  • 公式に回答入力しに行くとヒントあり。

おわりに

以上、1問たりとも5分では解けませんでしたが、楽しめました。3作目も期待しています。

しかし『5分間リアル脱出ゲームR』の"R"はリターンズって意味らしいんですが、次回作以降を作っていく際にタイトルが付けづらそうってのが気がかりではあります。

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リアル脱出ゲームブックvol.2『ルネと秘宝をめぐる旅』レビュー

こんばんは、夜中たわしです。

ついにあの「リアル脱出ゲームブック」の続編が発売されました。タイトルは『ルネと秘宝をめぐる旅』。

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リアル脱出ゲームブックは、リアル脱出ゲームで有名なSCRAPによる、謎解き要素の非常に強いゲームブックです。

前作『ルネと不思議な箱』の完成度が非常に高かったので、ずっと待ってたんですよ。2年以上待ちました。

前作のレビューはこちらをどうぞ。2年経って成長したのか、なにやら絵柄が変わりましたね。

ストーリー

今作はタイトルのとおり、宝探しがテーマ。

訳あってとある一家に転がり込んだ主人公のルネでしたが、その家は借金まみれで今にも立ち退きを求められる状況。それを一発逆転するため、一家総出で宝探しに乗り出すが……というストーリー。

前作同様、全体的に子供向けを意識したテイストで、都合主義的なストーリーで行き当たりばったりが多いです。普通に博物館の展示品を盗んじゃったり(謎解きに必要なので)、盗賊を尾行して盗品を横取りしようとしたり「それやっちゃう!?」という行動を主人公たちは普通にやります。

すが後半には驚きと感動的な展開も待っていて楽しめました。謎が主体とはいえ、ストーリーも楽しめるのは嬉しいです。

主人公がルネなのは前作と同じで一応続きものですが、ストーリーに関連性はまったく無いので、どちらから遊んでも構いません。後述しますが、どちらかといえば本作からのほうがいいかも。

内容物

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これはほんの一部ですが、前作同様いいアイテムが沢山入ってます。

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帯に書かれていた、ゲームブック初というスキルカードは、こんなやつ。

作中にはスキルを使用可能なポイントのあるマップがいくつか登場します。話を読み進めていくと使えるスキルが増えていくんですが、増えるたびにマップに戻ってスキルを使ってみたくなります。ちょうどゲームで使えるコマンドが増えると色々試してみたくなる感覚と同じ。よくできてる。

あ、スキルの具体的な使い方は想像するか購入して確かめていただければと思います。

スキルに関する小ネタも結構仕込んであって、なんとなく塀に「のぼる」を使ったら塀が崩れて病院送りになったり(もちろんゲームオーバー)、また別の場所でゴミ箱に「キック」を使ってみたら、謎が解けないことの八つ当たりでゴミ箱を吹き飛ばし、さすがにこれはダメだとゴミ掃除を始める始末。これは面白いのでぜひ試してください。

こういう「プレイヤーの選択によって主人公が狂う」展開、かなり好きです。

難易度・プレイ時間

全5章(+序章)なんですが、駆け足で遊んで1章あたり60分~90分程度、合計6~7時間かかりました。前作とだいたい同じですね。ページ数も同じ。

章の途中で中断するとわけがわからなくなるので、なるべくまとまった時間を作って遊んだほうがいいです。

難易度は若干易しめかな? 何より公式サイトにヒントが充実していて、最終問題含めほぼ答えまで載っています。前作は最後がノーヒントで本当にキツかった思い出があるので(攻略についての問い合わせメールが私宛に来たりしました)、これはありがたいですね。

2年ぶりの発売ということもあってか、前作と同様に全体的に謎の完成度は高かったです。最後の謎も前回同様、どえらいインパクトをくれました。前作がものすごかったのでどうなるかと思いましたが、これなら納得。

おわりに

期待を裏切らない内容で、今回も非常に楽しめました。前作が楽しめた方には胸を張っておすすめできます。

前作を遊んでおらず興味を持った場合は、本作から遊んでみたほうがいいかも。先述の通りヒントが充実しているんで、ハマることがありません。


早くも次回作が楽しみです。2年待ちます!

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