こんばんは、夜中たわしです。
「リアル捜査ゲームブック」という、一風変わった書籍がSCRAPから出てます。
ん? 捜査? 脱出や謎解きはどうした? と思いつつも「実際に歌舞伎町で行われていたイベントの書籍化」だと知って興味を持ち購入。買った後に気づいたけど、これ前後編に分かれてます。これは前編。
なお私は実際のイベントには参加しておらず、そもそも歌舞伎町についてもよく知らず、何か東京にあるアブないところなのでは? という印象しかありません。よろしくお願いします。
概要
本書はとある探偵社の新人となって、事件を捜査していくゲームブックです。
「リアル"捜査"ゲームブック」ということで謎解き的な要素は少なめ。推理系の思考を求められることと、あとミニゲームのようなものを遊ぶことが多いです。
かなり特殊なゲームブックになっていて、まず目を引くのはLINEを使うってところ。
本を読み進めるのが基本ですが、要所要所で捜査LINEというアカウントとメッセージをやり取りして進めていく必要あり。
頻繁に行うのは調査に応じた行き先の入力。
これには同梱のマップが必要になってきます。だいぶ進めてから気づいたけど、これは切り取り線が入ってるので切り離したほうがいいです。でないとかなり遊びづらい。
移動後には実写のムービーが流れることも多く、実際に捜査で場所を訪れているような臨場感があります。当然会話もしますが、プレイヤーの分身(手しか見えない)は字幕で喋ります。
このシーン、実際のイベントだと本当にキャバクラを訪問するんですよねこれ。正直こう……リアルなコミュニケーションは苦手なんで、私は動画でかまわんです。
各章のオープニングとエンディングではアドベンチャーゲームのような小芝居が流れます。
見ての通り、同僚の探偵たちはアニメやゲームのキャラのような存在です。章ごとに別の探偵と行動を共にすることに。
そうそう、毎度オープニングアニメも流れます。
話を進めていくと、登場人物のLINE IDを貰うことも。
中身はもちろんBOTで単純な作り。とはいえメッセージを入力すると人間らしい返事があるのは、一緒に捜査を進めているような錯覚を感じるのに十分。これはなかなかいいですよ。単なる本だとキャラクターは返事しませんからね。
残念に感じたのは、どうしてもリアルイベントの劣化版に感じられてしまう点。まあ仕組み上仕方ないですが。
元ネタのイベントは写真を見せての聞き込みに始まり、歌舞伎町だけあってか捜査のためキャバクラやホストクラブに入る必要も出てくる。さらには敵アジトへ侵入したり、時に怪しげな商品の運び屋をさせられることも。
当然ながら事件の登場人物(演者さん)と直接やりとりする必要があり、アドリブなども交えてそのキャラクターになりきった演技をしてくれるそうな。
まるで探偵モノのゲームに入り込んだかのような非日常を味わえる。それが「リアル捜査ゲーム」。
これが本書「リアル捜査ゲーム"ブック"」になるとどうなるか? というと……当然ながら先述したキモの体験部分が全部バッサリとカットされちゃってる状態に近いです。
ムービーやらLINEやら、"実際に捜査してる気分になる工夫"は随所に感じられるんですが、やはり本当のイベントとは全然違いますね。
本来であれば試行錯誤して緊張感のあるやり取りをする部分が、本書だとムービーでプレイヤーの分身(手しか見えない)が勝手に解決させてたりするし……。気になった回数は数えるほどですが。
でも書籍にも計り知れないメリットがあります。それは怪しげなところに実際に行って緊張する必要もないし、演者さんとやりとりするコミュ力がなくても大丈夫! あとはイベントと違って、終了する心配もなし!(LINEやYouTubeがサービス終了するとダメですが)
……とまあ「イベントの書籍化」ということさえ意識しなければさほど問題なく楽しめるが、実際のイベントを過度に想像してしまう人は結構気になるであろう、そんな本。
個別感想
ここからは簡単に、事件別の感想です。
ストーリーの核心について記載はしませんが、展開について多少のネタバレはあります。気になる方はご注意を。
CASE1 No.1キャバ嬢殺人事件
キャバクラを訪ねることに始まり、聞き込み、運び屋、潜入などの展開あり。イベントで実際に体験してみたい要素の応酬。
新しい場所を訪れる際などに、導入を動画で見る→続きを書籍で読む、という形式が多いが、動画と書籍内で口調が全然違うキャラクターがいた。いきなり人格が変わったか!?
血なまぐさい展開がある。痛そう……。
ストーリーより、体感イベントの楽しさを重視しているように感じた。でも本当の体感はできないんだけども……。
CASE2 裏カジノ・イカサマ事件
リアル捜査ゲームの中でも異質な作品。ギャンブルがテーマのためか、要所要所で賭けゲームに参加させられる。動画を利用するものや、LINEでのやり取りが必要なものも。
LINEで送られてくる画像がどこで撮影されたものか答えるやつが面白かった。これ使用デバイスがPCかスマホかで難易度が全然違うと思う。PCの方がはるかに簡単。
ゲームに勝ったかどうかは自己採点のため、イカサマし放題。いいのか。
ゲームの結果によって付録のスクラッチシートを削る必要があるが、別に削らなくても進めるっちゃ進める。
最後の大勝負はヒリヒリした。動画でこれだから、イベントだと緊張感が半端なさそう。
血なまぐさい展開、この事件にもあった。
ゲームを複数プレイすることになるので、本書の中では最も体感的な要素が強い。
CASE3 ホストクラブ偽札事件
謎の言語での会話、偽造した商品を見せるなど、これまた現実にやり取りしてこそ盛り上がるシチュエーションが多数。
イベントでは自分で頑張る部分を、ムービー内でプレイヤーの分身(手しか見えない)が勝手にやっちゃってた。仕方ない。
一部わからないまま強引に進めてみたところ、特に問題なくクリアしてしまった上、答えも分からなかった(日倉の出身地)。何か見落としたか?
おわりに
1章あたり1~2時間のボリュームで、特に詰まることなくクリアできました。難易度としては低め。
内容としては何度か書いた通り、どれも実際のイベントなら盛り上がるんだろうな~、という印象が拭えません。どうしても脳裏によぎってしまう。そういう意味では「今後こういうイベントがあれば行ってみよう」と思わせる書籍としては100点かも。
とはいえ、色んな理由でイベント参加が難しい人や、コミュニケーションが苦手な人でも遊べるという点は素直に喜ばしいです。私の場合、過去にイベントでドSの警官役の人に圧迫面接を受けてから、誰かと対決するフェーズのあるイベントは尻込みしてしまうんですよ……。
いずれにせよ、LINEにムービー、また時にはネットでの検索なども利用して捜査を進める、なかなか斬新な作りのゲームブックであるのは確か。一風変わった遊びをしたいなら全然おすすめです。
後編のBLACK FILEには、特に評判の良かった事件が収録されているようなので、結構楽しみ。
追記:後編の感想書きました。
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