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リズムに乗って1000回遊べる2Dゼルダ『ケイデンス・オブ・ハイラル』レビュー

こんばんは、夜中たわしです。

名作ローグライクリズムアクションの『クリプト・オブ・ネクロダンサー』と、言わずと知れた『ゼルダの伝説』がコラボしたゲームが発売中です。

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その名も『ケイデンス・オブ・ハイラル: クリプト・オブ・ネクロダンサー feat.ゼルダの伝説』。タイトル長いなこれ。勘弁してよ。

どうコラボするのかずっと気になってたんですが、実際に遊んだら想像を超えていましたね。

見たところ2Dゼルダをリズムに合わせて遊ぶ感じかな? という印象を受けますし、それは正しいです。ゼルダのBGMに合わせて敵をバッタバッタなぎ倒すのは爽快そのもの。

でも本作の魅力はそれだけじゃないんですよね。誤解を承知で言っちゃえば、本作はマップとダンジョンが毎回自動生成される『神々のトライフォース』……的な何かなんですよ。

これ2Dゼルダの新作と言って遜色ない出来なんですが、さほど盛り上がってない印象を受けるんですよねえ。特に2D系のゼルダが好きな方は遊ばなきゃ本当にもったいない。もしリズムゲーが苦手な場合でも、リズム関係なしの(シレンのように遊べる)モードが初めから選べるので問題なく遊べます。

あと、すでに購入済みの方は、最近のアップデートで実績機能が追加されたので、再度遊んでみることをおすすめします。

概要

それでは簡単に概要を。

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物語は『クリプト・オブ・ネクロダンサー』の主人公、ケイデンスがハイラルの地に召喚されるところから始まります。

(だからタイトルは『ケイデンス・オブ・ハイラル』なのか……『ベイブ 都会へ行く』みたいなもの?)

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チュートリアルが終わるなり、プレイヤーをリンクとゼルダのいずれかから選択することに。ゼルダが選べるの、すごいですねこれ。しかもクリア後のオマケとかじゃなくていきなりと来たもんだ。

ゲームの目的はマップを探索して4体のボスを倒し、さらに大ボスに挑む……という、「いつものゼルダの伝説」の流れそのもの。

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見た目はこの通り、神々のトライフォースを非常に意識した作り。

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こちらはアイテム画面。大まかに、武器、イベントアイテム、消耗系の装備があって、消耗系の装備は使用していると壊れる他、ゲームオーバー時にも消滅します。

アイテムにはバクダンや弓矢、ブーメランにフックショット、さらにはソマリアの杖まであって、かなりの充実度。もちろんハートのかけらを集めるとライフの上限が増える要素もあり。

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もちろん技もゼルダ準拠で、回転斬りが置いてあったり(!?)します。リンクはいつも通りですが、ゼルダはというとネールの愛やディンの炎が使える、スマブラから逆輸入したようなキャラになってます。

と、かなり「ゼルダ」してるんですが、戦闘システムに関してはネクロダンサーの仕様で、リズムに合わせて戦うことになります。リズムに合わせて、ってのがピンとこない方は先述の動画をご覧ください。

まあとにかくこれが気持ちいいんですよ。ゼルダの音楽にノリながら動くだけでもなんだか楽しいのに、テンポよく敵をなぎ倒した時にはそりゃ爽快。マップ内の敵を全滅させるとリズムに関係なく自由移動できるようになるんですが、この際シームレスにBGMが控えめになるのも心地いい。戦闘→休憩→戦闘→休憩……の流れも緩急がついていて、緊張しっぱなしにならないのもいい。

BGMは過去作のアレンジが主なんですが、神トラだけでなく時オカや風のタクト、さらにネクロダンサーのBGMとマッシュアップしたものなんかも収録されていて、またその完成度が高いのなんの。めちゃくちゃ好み。

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全体マップもあります。

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あ、このマップは遊ぶたびに変わりますんで、そのまま参考にはできません。ご安心(?)ください。あなただけの冒険が待ってます。

自動生成で毎回違う冒険に

そう、本作の凄いところは、マップが自動生成されること。

ダンジョン内だけじゃないですよ。全体マップが丸々自動生成されます。下に海があって中央に城があり、エリアが4つに分かれている……といった大枠は決まっていて、固定されたマップもありますが、かなりの部分が毎回変わります。

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通常マップには謎解き要素のあるほこらが散りばめられていて、これもランダム配置。

このシステム、公式サイトや紹介動画でもひっそりと触れられていますが、これもっと全面に押し出したほうがいいのでは。1回クリアしてやめるタイプの人だと気付かないもの。


繰り返しプレイすると、アイテムの入手順によって立ち回りがガラリと変わることが分かります

弓やロッドがあれば遠距離から安全に戦えるようになり、薬入りのビンが用意できれば多少の無茶も可能に。ガラス製の武器(攻撃力が高いが被ダメで壊れる)を序盤に手に入れたらしばらく無双でやりたい放題。

パワーグラブやフックショットなどがあれば、移動範囲が広がってアイテムの入手に役立つのはもちろん、ダンジョンのショートカットにも利用できます。その方法も大抵は何パターンもあるんで「今回はバクダンで自分吹き飛ばして無理やり行っちゃうか」みたいな行動に出てもいい。

そういや初期バージョンだとソマリアの杖とホバーブーツ(短期間浮遊できる)を使って、いきなりラスダンに突入することができました(最近のアップデートで修正済みな気がする)。ともかく、謎解きの解法が複数用意されているのは好みです。ブレスオブザワイルドを彷彿とさせる。

このように立ち回りが無数に存在するため、特にタイムアタックに手を出すと「今手持ちのアイテムでの最適行動は何か」を常に考える必要が出てきて、めちゃくちゃ頭使います。私は能力的限界を感じて挫折しました。

どうも海外では割と盛り上がってるようで、20分切りでクリアしてる動画を見てみたら、これが半端ないんですよ。異様なショートカットを多用するのは当たり前、移動時間短縮のためにフックショットを使いまくったり(1ターンで長距離移動できるため)、ボスが出てくる前にバクダンや魔法を発射しておき、一撃で仕留めたりと見ててめちゃくちゃ面白い。全然真似できそうにない。

興味があれば、クリア後にでも探してみてください。

ハードコアモードが基準

本作は遊べるモードが非常に充実しています。

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  • ビート(リズム)を気にせず遊べる「ノービートモード」
  • ビートの速度が2倍になる「ダブルタイムモード」(正気か!?)
  • 一度倒れると最初からやり直しの「ハードコアモード」(正気か!!?)
  • マップの形状を固定できる「シードモード」

通常のモードのクリア後に遊ぶべきなのは、「一度倒れると最初からやり直し」という、シレンの持ち込み不可ダンジョン(ゴールは99F)を彷彿とさせるノリの「ハードコアモード」。しかもノーマルモードでは配置の固定されていたアイテムの一部(パワーグラブやゾーラの水かきなど)が、ランダム配置に変わる上、敵も強い。

軽い気持ちで挑戦してみると、開始数分でやられる、というのを何度も繰り返し「ああ、これが"本番"か……」と気づきます。この感覚はシレン系のゲームを初めてプレイした時の感覚とよく似てました。厳しすぎてゾクゾクする。

序盤に有用な武器や施設を発見して「これ、クリアできんじゃねーか!?」と思っても、ちょっとの油断ですべてが無に帰すというヒリヒリ感。たまらん。実際は序盤が一番きつくて、体力が増えてあきビンを手に入れるとかなり安全になりますが、それでも最後まで気は抜けません。タイムアタックに手を出したなら、あきビンやハートのかけらを集めてる暇なんてないので、ずっと危険状態。

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1日1回のみ挑戦できて、ランキングも残るデイリーチャレンジってのがあります。これ、ハードコアモードがベースでクリアタイムを競うやつです。

そう考えると開発者の意図としては、おそらくこのハードコアモードでのタイムアタックを基準としていると思われます。でもコンティニューなしのモードのみだとあまりに厳しすぎるので、仕方なくコンティニューができるモードを基本に据えたんじゃないですかね。つまり通常のコンティニュー有りモードはチュートリアル。

これを毎日のように遊ぶのはきついだろ、と思うかもしれませんが、慣れると1時間程度でクリアできる(らしい)し、普通は数分でゲームオーバーになるんで心配しなくていいです。

ちなみにノーマルモードの初回プレイは丁寧に遊んでも大体5~6時間程度あればクリアできます。短いですが、先述の通り本作は繰り返しプレイが前提の作り。このくらいで終わらないとやってられません。


あとダブルタイムモードは完全に悪ふざけで実装されてると思います。あんなの速すぎて遊べたもんじゃない(もちろんクリアする人もいるようですが)。せめて1.5倍速くらいなら遊べるかな……。

アップデートで実績が追加

8月頭のアップデートで、実績機能が追加されました。

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見ての通り、実績を獲得するごとに周囲のマスが開いて新しい目標が見えるタイプですね。上記はとりあえずハードコアモードをクリアした状態。今まではヤバいモードを早くクリアするくらいしか目標がなかったんですが、細かな目的ができてモチベーションが上がります。これ初めから実装されていたらもっと盛り上がったのでは。

一番ヤバい実績は、「体力が常に1の隠しキャラを使ってハードコアモードをクリアする」だと思います。どう考えてもキツすぎる。ノービートモード有効でも大丈夫ですが、めちゃくちゃキツい。でも実績全部獲得してる人、いるんだよなあ……。

気になる点

ここまで褒めてばかりですが、気になる点もそれなりにあります。

まず基本的な戦闘システムについてですが、技2種類がLR、アイテム4種類がABXYに割り振られており、やや煩雑。テンポに合わせて動いてると考える猶予がほとんどなく、初見だとまず有効活用できません。結構な慣れが必要。

あと結構大きいのは、アイテムの切り替えや使用時、メニューを開く必要があってテンポが崩れるってところ。元ネタのネクロダンサーはアイテム画面のような概念がないので、ずっと途切れずリズムに乗って戦うことができる(戦わざるを得ない)んですが……。

ある種リズムゲーとして致命的とも言える部分ですが、仕方ないのも分かります。ゼルダといえば豊富なアイテムを利用してどう道を切り開くかが大きな魅力の1つ。アイテムを4つまでに制限して、武器を1種類しか持てなくする……なんてことをすれば素材を殺しちゃうのは明らか。仕方ない。どうしようもないこともある。

次に謎解きに関して。ほこら等のアイテムを入手する際、特定のアイテムを入手するまで絶対入手不可な場合があります。これ気になるのはブレスオブザワイルドの謎解きが常時可能だったためかも。また、アイテムの仕様を理解していないと解けない仕掛けがあったり(リトの羽で前方のブロックに飛び乗れるなど)。

謎解きは全体的にあっさりめだったり理不尽だったりと、大味な作りの印象ですね。ここはランダム生成の影響なのか、アイテムの入手と謎解きの順序を固定化できないためどうしようもないのかも。どうしようもないこと多いな。

とは言え、上記のようなジレンマにうまく折り合いをつけてまとめ上げている印象は受けます。いやほんと。ゼルダとネクロダンサーを神がかり的なバランスでくっつけてる。この手腕には脱帽します。

おわりに

本作、ベースがゼルダ寄りなので往年のゼルダファンに特におすすめです。敵キャラや謎解きがゼルダ準拠なので、過去作をプレイしていれば知識が結構役立つはず。逆にまったくの未プレイだと、多少取っつきにくいかも。逆にネクロダンサーは未プレイでも何ら問題ありません。

さらに自分で目標や縛りを設定して繰り返し遊ぶのが好きな方なら、かなりハマるでしょう。タイムアタックを推奨してるのか、細かなモードごとにプレイ時間とステップ数のオンラインランキングが用意されているんで、なかなかに挑戦しがいがあります。

そこまでやり込む気がなくとも、ハードコアモードまでは頑張ってクリアしてもらいたいです。達成感がものすごいので。

そうそう、今まで触れてませんでしたが、ラスボス戦がかなり熱いんですよ。ゲームシステムが数段階変化して、「マジか、マジか」って言いながら戦ったのを思い出します。あの感覚大好き。できればネタバレ無しで自分の目で確かめてほしいところ。

ということで……少しでも興味を持ったなら、最近になって体験版が出たんで遊んでみてください! お願いします!!

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