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難問「ニューカムのパラドックス」対 特殊能力者

こんばんは。夜中たわしです。

本日お届けしますのは、「ニューカムのパラドックス」という面白い問題についてのお話です。

ニューカムのパラドックス

俺はとある部屋で選択を迫られていた。

目の前は箱が2つある。

Aの箱には100万円が入っている。

Bの箱には1億円が入っているか、もしくは"たわし"が入っているようだ。

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そして俺がこれから取れる選択肢は2つ。

「Bの箱だけを受け取る」か、「AとBの箱の両方を受け取る」かのいずれか。他の選択肢は、ない。

なら両方受け取ればいいじゃん、と考えそうなものだが話はそう単純じゃない。

この箱を設置した男は特殊能力者であり、未来を非常に高い精度で予測できる。そして俺がどちらの選択肢を選ぶかを事前に予測しているそうだ。

俺が「Bの箱だけを受け取る」と予測した場合はBの箱には1億円を入れておき、「AとBの箱の両方を受け取る」と予測したならBの箱には"たわし"を入れているらしい。

この状況で、利益を最大化するにはどちらを選べばいいか? が現時点の問題である。

これはニューカムのパラドックスと呼ばれる問題、そのままだ(ハズレの場合、たわしは入ってなくて空っぽだった気もするけど)。

2つの考え方

この問題については、決定論(未来は予め決まっている説)を信じる人はBの箱を選び、自由意志(未来は決まっていない説)を信じる人はAとBの箱を選ぶ、としばしば言われる。

いやしかし、これはその前提条件となる、彼の未来予測の精度と方法がどのようなものかによる。

ただ勘がちょっといいだけのレベルならAとB両方を選べばいい。箱の中身はもう変わらないんだから。

一方、本当に未来が分かっており100%的中させられるのであれば、Bの箱を選ぶべきだ。

しかしこの考えは、まるでこれから自分がどちらを選ぶかによって過去が変化するかのような錯覚を覚える。

「現在の行動が過去に影響を与える」という考えは「溯及因果」と言う。Bの箱を選ぶ人は溯及因果を信じていると言い換えることができるかもしれない。

過去が変わるなんてありえない? その通り。普通ありえない話だ。

けど、受験なんかの合格発表前に神頼みをしたり、宝くじの番号発表前に祈ってみたり、という経験はないだろうか。

いくら祈っても過去は変わらないのに。

ある種、神的・超自然的な存在なら過去ごと変えてくれるのでは? と思っちゃうのだ。

ところで「溯及因果」って響き、ちょっとかっこいいな。今度使おう。

聞いてみた

結局、今回の予測はどのように行われているのか?

目の前に予測した本人がいるので、もちろん聞いてみた。

「別に未来は見えてません。勘です。勘がめちゃくちゃいいだけです。今のところ百発百中です」

この百発百中というのは嘘じゃない。実際、俺以前に100人を超える挑戦者がいて、すべて予測を的中させている。この情報は確かだ。八百長などもない。

なら自分でも予測がつかないようランダムに、コイントスなんかで決めてみるのはどうだろう?

「コインやサイコロなどで決めた人も過去に20人くらいいましたが、もちろん予測は当たりました。相手の思考を読んでるわけじゃないです。勘がいいだけです」

箱の中身 ※世界観崩壊注意

だめだ……1億100万円を手に入れられる気がしない!!

くそっ! 今日中に、1億100万円分の借金を返さないといけないのに……!

ん。いや、まてよ?

そういや俺にも、特殊能力がある。

そうだった。能力を使えばよかったんだ!

「……Bだけを選ぶ!」

「それではBの箱をお開けください」

俺はすかさずBの箱を開けた!


……1億円だ!

1億円が入っている!

それを確かめた俺は、すぐさま時間を巻き戻した

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※イメージです


「AとB、両方を選ぶぞ」

「……! それでは箱をお開けください」

完璧だ。これで俺は1億100万円をゲットできる。

もしこれで1億円がなくなってたら、確実に何らかのイカサマだ。その時は何としてもタネを明かして、何だかんだで1億円を手に入れてやる。

そして俺は、2つの箱を、開けた。


……。

100万円と、1億円だ!!

1億100万円が手に入った!!

「コングラッチュレーション」

男は手をパチパチと叩きながらこちらに歩いてきた。

「あなたをお待ちしていました」

「へ?」

「私が未来の予測に失敗することは、ありえないのです。ですがあなたはそれを破った。あなたは、何らかの特殊能力を持っていますね?」

「何が言いたい?」

「無償で大金が手に入るとでも思いましたか?」

「まさか。……何かの罠だったのか!? 俺に能力を使わせるための」

「いえいえ。実は仲間を探していたのです」

「仲間って何の」

「実は近い将来、この世界に危機が訪れます」

「危機」

「異世界からの侵略です。このままでは、この世界は滅びへ向かうでしょう。すでに私以外に2人の同志がいます。あなたも仲間になっていただけませんか? 能力をぜひ教えてください。見たところ、時間操作系ですか?」

「俺の能力は確かに時間を巻す能力だけど」

「おお!」

10秒くらいしか巻き戻せないんで、基本的に覆水を盆に返すことくらいしかできないんですけど。たぶん役に立たないです」

「えー……」

「ちなみに、あなた方の能力は?」

「私の能力は『2択を確実に当てる能力』です。あとは『1秒だけ透視ができる能力』と、『札束の匂いを敏感に嗅ぎつける能力』を持つ者がいます」

「……えーと、この世界のことは、アメリカとかに任せておきましょうよ」

「えー……」

「とりあえず、借金を返さないといけないんで帰ります。あ、1億100万円は貰っていきますね」

「……」



確かにそうだなあ。世界のことはアメリカに任せて、今後も株で稼ぐか!



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おわりに

すみません。いつものことですが、訳の分かんないことになっちゃいました。


※前日譚的なもの

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