こんばんは、夜中たわしです。
「面白いゲーム」はどうすれば作れるのか? その答えは、すべてのゲーム開発者が知りたいことでしょう。喉から手が出るほどに。
本書を読めば、そのすべてが明らかに……いやそれが、全然ならないんですよこれが。
ゲームの面白さを測定する
本書で行っているのは「研究」です。研究というのは実験と測定が基本。そんなことが果たしてできるのでしょうか。「面白さ」なんていう曖昧なものに対して。
まず試してみたのは、少しづつ違いのあるゲームを複数人にプレイしてもらって感想を聞くというもの。
ここで使用されたのは『落ちゲーやろうぜ』という、落ち物ゲーム作成ソフトです(こんなのあったんだ)。
ベースの簡素なゲームに対しアニメーション、効果音、ボーナス得点、スピードアップといった要素を順に追加していき、それぞれについてプレイヤーに遊んでもらい、感想を聞きます。
ところが実験参加者によって反応はバラバラ。「この要素」が面白さの決め手だ! というのは見つかりません。
次にゲームを遊んでいるプレイヤーの姿を観察すれば「面白い」と感じる瞬間が見て取れるのでは? とビデオでの撮影を試みるも、プレイヤーが表情を変えずに黙々とプレイする様子が延々流れる始末。これによりゲームに熱中すればするほど、リアクションは薄くなっていくことが判明します。
それならとプレイヤーに対し、プレイ中の面白さなど、感情をリアクションとして表現するように依頼。さらにそのリアクションを聞く人を横に一人配置しました。たぶん実況プレイのような感じ。
ちなみにここで使用されたゲームは『I.Q』。落ちゲーより強い感情が出ることを期待したそうな。
しかしこの方法も効果は薄く、しかもリアクションは失敗した時のものがほとんどという結果で、「面白い」と感じた時の反応は少なかったみたいです(これはプレイヤーの気質による気もしますが)。
その後もテトリスやスロットマシンなどを持ち出し、手を変え品を変え実験を続けるものの、目立った成果がほとんど得られません。
という感じに、研究の苦しみが分かる本です。
「ゲームの面白さ」という題材が魅力的なのもさながら、「こういう実験じゃダメなのね」という事例が体験談とともに紹介されるのは面白いです。目覚ましい成果が登場するわけではないですが。
おまけ
研究のはじめにゲームのレビューサイトを読み漁ったところ、「面白さ」よりも「つまらなさ」についての記述が圧倒的に多かったそうな。
「つまらなさ」とは「面白さ」の裏返しなのでは? ということで選定した28のクソゲーの批評サイトから、ゲームを評価する表現を抜き出した一部がこれです。
(出典:ゲームの面白さとは何だろうか P22)
この表は面白すぎる。「常人にはついていけない領域に達したゲーム」「異様なオーラが漂っている」とか、逆に興味が湧くけど何なんだろ。
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