こんばんは、夜中たわしです。
「全てはVRの為の設定とシナリオとゲームデザイン」というコンセプトのPSVRソフト……
あの自転車創業による『星の欠片の物語、ひとかけら版』が先日配信開始されました。
私はこれが遊びたくてPSVRを買ったような覚えもあります。 謎解きが恐ろしい難易度でしたが、なんとかクリアできたので紹介と感想です。
概要
舞台はこちら、よくわからん星です。このビジュアルの星で宇宙服もなしにこの少女は大丈夫なのでしょうか?? 耳を見るに人間ではないようですけども。
本作はこの少女(のじゃロリ系)と協力して仕掛けを解いていく形式の、いわゆる脱出ゲームです。
このようにキャラクターが3D空間を動き回り、仕掛けを操作する様子が描写されるタイプは珍しいですね。素晴らしい。それが可愛いヒロインならなおさら。
ゲーム開始直後に少女はプレイヤーの存在を認知し、さらに『別の世界を覗き見る装置(=VR装置)』を装着していることを見破ってきます。PSVR作品では『勇なまVR』なんかもそうでしたが、いきなり第四の壁を破ってくるのは潔くていいですね。好みです。
「全てはVRの為の設定とシナリオとゲームデザイン」というコンセプトは伊達じゃなく、プレイヤーはVR装置を通して異世界にアクセスしている、という設定になっています。
タイトル画面もなければスタッフロールも流れないという徹底ぶりは、これはゲームではなく本当に異世界と繋がるデバイスなのだ、という説得力を生み出しています。
システム
プレイヤーは視線の移動により、どのオブジェクトに対してアクションを行うか少女に指示します。プレイヤーが行える操作はこれのみ! コントローラーは使いません(厳密には、コントローラーの□ボタンにより字幕をON/OFFできますが)。
というのもプレイヤーは異世界を覗き見しているだけの存在なので、声を出すことはおろか動き回ることもままならないのです。できるのはアイコンタクトだけ。
一方で少女の置かれている状況はというと、星が砕けて2つになったおかげで知識、記憶、知恵が星の欠片に持って行かれてしまったとのこと。そのためか名前すら名乗ってくれません。変な星が脳ミソと同期しているという、常軌を逸した事が起きているようです。
記憶などを取り戻すには、星に設置された仕掛けを解いていくことで星を元通りにする必要があります。
ですが知識や知恵のあまりの低下のためか、少女が自力で仕掛けを解くことはまったく出来ません。そんな状況なので、知恵のあるプレイヤーの協力が不可欠になっています。
ゲームである不自由さを生かす設定
操作が視線移動のみというのもVRを活かしていて面白いですが、特に少女のキャラ設定が秀逸に感じました。
というのも、謎解きをしていると少女に対して色々思うところが出てくるわけですよ。
- 指示されないと何も調べない
- パッと見で見えないところは確認しない
- そのブロックを設置したら当然ボタンを押す流れだろう→指示されないと押さない
- 同じ仕掛けの動作に何度も驚く
- 同じセリフばかり喋る
- 謎解きのヒントを一切くれない
- プレイヤーが謎に詰まって悩んでいても、ただただ突っ立っていて雑談も何もない
などなど……という脱出ゲーム上の都合(と、おそらく予算上の都合)を「知識と知恵がないもんは仕方ないね。たぶん記憶力も落ちてるね」「声が届かないから仕方ないね」「可愛いから問題ないね」とプレイヤーに納得させるのに一役買っています。
この少女の不遇な設定を忘れると、途端にメチャクチャ不親切な印象のゲームと化すので、しっかり認識しておきたいところです。
難易度は高め
かなりの難易度で、下手すると謎解きを始めて5分で詰まります(私は詰まりました)。
謎がほぼノーヒントなのに加え、キーとなるオブジェクトが小さかったり見つけづらい位置にあったり。まあ自転車創業の謎解きは大体そうなんで、いつも通りではあるんですが。
当然舞台が異世界にある謎の星なんで、謎のオブジェクトだらけです。行ったアクションに対して何が起こるかさっぱり分からないため、取っ掛かりが掴みづらいです。ひたすらトライアンドエラー。これも自転車創業の謎解きは大体そうなんで、いつも通りなんですけど。
理不尽に感じる謎もありますが、やはり解けた時は気持ちいいですね、
ひとつ私が詰まったポイントを話しておきますと、冒頭で「あまり動くな」って言われるんですよね。
これでてっきり、ほぼ動かなくてもクリアできるのかと思いましたが、そんなことはありませんでした。「あまり動くなよ?」ということは、つまり「ちょっとくらいは動けよ」ということに他なりません。
もうすこし言っておくと、プレイヤーは立ってプレイしている状態が基準っぽいんですよね。視点の位置的にも。ずっと座ったままでプレイしていると、高確率でハマります。
これ以上は触れませんが、多少攻略のヒントになれば幸いです。
気になった点
本作はテンポが非常に悪いです。
1番の要因は、少女が何か1つ作業をする度に定位置(プレイヤーの目の前)に戻ってきてしまうところ。
例えばブロックをある装置に嵌め込んでスイッチを押してほしい場合、最短で指示しても、
ブロックを拾う
→プレイヤーの前に戻ってくる
→装置の前に移動
→装置にブロックをセット
→プレイヤーの前に戻ってくる
→装置の前に移動
→装置のスイッチを押す
といった具合で、非効率の極みです。戻らずに作業を続けてくれればどれほどありがたい事か。確かにアイコンタクトのみで連続での作業は指示しづらいですが、対策は可能なはず。
定位置に戻るのを廃止するとか、戻ってる途中でも指示を受け付けるとか、スイッチを押すか尋ねるようにするとか(うなずきは認識できるので)。
まあ必ず定位置に戻るほうが実装上都合はいいでしょうけど……。そして、そこまでする予算がなさそうなムードも感じ取れてしまうんですが。
脱出ゲームってのは試行錯誤がどうしても多くなるため、テンポが悪いのは命取りです。
試行錯誤中は同じオブジェクトを何度も何度も調べたりしますが、そのたびにまったく同じ(そして進展しない)作業を見せられるのも辛いですね。ここに関しては「3Dキャラがフルボイスで動く」という本作の魅力が裏目に出た感じです。フルボイス(スキップ不可)と脱出ゲームの相性はなかなかに悪いです。
過去にやった作業は簡略化するか、いっそ早送りやスキップをしても良かったかと思います。異世界と繋がっているという没入感を損なう恐れがありますが、そこは異世界なんだから、時間の流れが変えられるとかなんとか理由でも付けちゃって。
……ともかく、時間に余裕がないときなどに遊ぶとイライラが爆発する恐れがあるので、異世界の少女とのふれあいをゆったり楽しむ気持ちで遊んだほうがいいかも。
あと別の観点の問題ですが、周囲360度にオブジェクトが置かれているので頻繁に後ろを向く必要があり、下手すると首がやられますね。ゆっくり後ろを向きましょう。
良かった点
システム面でも紹介した通り、コンセプトと世界観はかなり魅力的です。
その他、良かったシーンなどをいくつか。
これは砕けた星が衛星のように周回している様子ですが、壮観。謎解きを進めると移動できる上、動かした仕掛けの状態もしっかり反映されて星の表面に見えるのが楽しいです。もちろん星同士の要素が影響する謎もあり。
時折フォルダが拾えます。少女は文字が読めない(たぶん星が砕けたため)ので、こちらに読むよう見せてくれます。内容は不穏なものも。ただし解像度の問題かちょっと読みづらいのは改善の余地があるかも。
最後に、画像は出しませんがラストの展開。
本作はタイトルの「ひとかけら版」という部分からもわかる通り、プロローグにあたる作品です。それでも一応区切りはあるんですが、これが未完結なのを逆手に取ったラストでなかなか。
苦労してクリアした後には、きっと人に勧めたくなっているはず。
本作の売れ行きが良ければ、本記事に書いたもろもろの問題点が改善された完結編が出ると信じています。テンポさえ改善すればかなりいいゲームなので、続きが遊びたい……! 私は待ってますよ!!
プレイ時間
6時間ほどでクリアしました(ノーヒントです)。大きく詰まったのは2回。そのうち1回は諦めて寝ました。
スムーズにいけばクリアまで4~5時間くらいですかね? もちろん脱出ゲームの性質上、ドツボに嵌まると全く進まなくなってしまいますが。
ちなみにクリアするだけでトロフィーは全部回収できます。
全体評価
謎解きや脱出ゲームが好きなら楽しめるはず。少女と協力して謎を解くシステムは新鮮で、謎めいたストーリーも魅力的です。
ただしテンポに難があるので、時間的・精神的に余裕のある時に遊んだほうがよいかと。
ゲーム世界に没入するよう、なんとかして気分を高めてからプレイするのを推奨します。
おわりに
そうそう、
重要なことなので最後にこれだけは伝えておきますが、
その気になればパンツ覗けます。
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