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何かを断りたい時「アビリーンのパラドックス」に思いを馳せよう

こんばんは、夜中たわしです。

今回紹介するのは「アビリーンのパラドックス」です。

アビリーンのパラドックス

いきなりですが、このパラドックスが提唱された際の小話が面白いので、Wikipediaより引用します。

ある八月の暑い日、アメリカ合衆国テキサス州のある町で、ある家族が団欒していた。そのうち一人が53マイル離れたアビリーンへの旅行を提案した。誰もがその旅行を望んでいなかったにもかかわらず、皆他の家族は旅行をしたがっていると思い込み、誰もその提案に反対しなかった。道中は暑く、埃っぽく、とても快適なものではなかった。提案者を含めて誰もアビリーンへ行きたくなかったという事を皆が知ったのは、旅行が終わった後だった。


アビリーンのパラドックス - Wikipedia

あー、あるある! と思った方も多いのでは?

お互いが空気を読みすぎるあまり、全員で望まない方向に突撃するという、集団思考の失敗です。

会社の経営方針を集団で決定する際など、このパラドックスに陥ることがあります。

それを抑止するため「アビリーンに向かっていないか?」を考え、声を上げる人というのは貴重です。

上記例は提唱者も含めて旅行を望んでいなかったという何の救いもない話ですが、声の大きな意見に周囲が同調して、ほとんどの人が望まない行動を選択している、ということは誰しも体験したことがあると思います。

身近な例

身近な例だと、会社での(参加者のほとんどが行きたくない)飲み会とか、謎の朝礼とか、社歌の斉唱とか。

日本全体に関わる話だと、年中行事なんかがそれに当たりそうです。

1月にやるあれとか、2月3月にやるそれとか。お盆にやるやつ、年末にやるやつ、他には特定の年齢になったらやるやつとか冠婚葬祭系のやつとか。

※筆者が臆病者なあまり、特定のイベント名の明言を避けています

本当に望んでそのイベントに参加しているならいいんですが、

「みんなやってるから」

「参加しないと、のけ者にされそう」

「疑問を持ったことがなかった。やらないでいいなら、やらない」

なんてことをもし多くの人が、たとえば半数以上が考えているならそれは全体として不幸ですよね。

アビリーンに向かっていないか

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望まない行動を防ぐためにも、普段からアビリーンのことを気に留めておきましょう。

たとえばこんな感じです。


上司「よーしみんな! 今日飲み会行こうか!!」

同僚A「いいっすね!」

えー、飲み会!? 嫌だなー。ここのところ、家に帰ってからはハイラルに平和をもたらす(ゼルダの伝説を遊ぶ)ので忙しいんだけど!?

でも他の同僚たちは喜んでいるようにも見える。言い出しづらい。

いやまてよ。もしかすると同僚も、ああは言ってるけど実は望んでいないかもしれない。

それに、それにですよ。そんなことを言い出すと、あの上司自体も無理して誘ってるのかもしれない。

もうここは言うしかない。


みんな、アビリーンに行こうとしてない?


同僚B「えっ」


ほら、行き先がアビリーンだと思う人、手を上げて!!


同僚C「……」


(クソッ! なんてこった!! アビリーンを感じてるのは自分だけだったか……!)



結局全員で飲み会に来てしまった。

同僚A「あのさ」

ん?

同僚A「さっき言ってた『アビリーン』って何? ちなみにこの飲み会まじで早く帰りたいわ

同僚B「それ俺も気になってた。あと俺も早く帰りたい

同僚C「アビリーンには興味ないけど、帰りてぇ~

上司「おい、お前ら! 聞こえてるぞ! 折角私が珍しく誘ったのに。そのために今日はハイラルをガノンから取り戻す(ゼルダの伝説を遊ぶ)のを我慢してるというのに、何言ってんだ!!」


……。

おわりに

こんなことにならないよう普段から「アビリーン」について周知しておきましょう。

そしてボソッと「もしやアビリーンか……?」と言えば、ソフトに問題提起することができます。


もしくはいっその事「本当にみんな行きたいんですかぁ?? 自分は正直嫌だけど、みんなが行きたいなら行きますよ」と言いましょう。

この方式だと、どちらにせよ呼ばれることはなくなるので万々歳です。

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