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「朝三暮四」の意味に納得がいかない/時間割引率と「逆朝三暮四」

雑学 経済学
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こんばんは、夜中たわしです。

「朝三暮四(ちょうさんぼし)」という故事成語がありますが、ご存知でしょうか。

この言葉の意味に、私は納得がいかないのです。

朝三暮四

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「朝三暮四」とは、こんな話です。

昔、中国の宋という国にある狙公(猿を飼ってる人)がいました。

猿達にはトチの実(どんぐり)を与えていたんですが、「朝に3つ、夕方に4つやる」と提案したところ猿達に怒られてしまいます。

そこで「朝に4つ、暮れに3つにしよう」と言いなおしたら猿達は喜んだ、とのことです。 この故事から「目先の違いに気を取られ本質に気が付かない」という、少々バカにした意味合いで使われます。

この故事には色々突っ込みどころがあります。

人間の言葉を理解して一喜一憂するという、あまりに猿が賢い(しかも複数いる)のも気になりますし、そもそも一日どんぐり7つ生きていけるのか、も気になります。

しかしそれより私が問題にしたいのは、「朝に3つ、夕方に4つ」よりも「朝に4つ、夕方に3つ」の方が普通に得じゃないか? ということです。

時間割引

たとえばあなたは「今100万円貰う」のと「1年後に100万円を貰う」のであればどちらを選ぶでしょうか? 今貰いますよね?

では「今100万円貰う」のと「1年後に110万円を貰う」のではどうでしょう? 「1年後に200万円」なら? あるいは「1年後に100万1000円」なら? こうなってくると人によって意見が異なってくると思います。

そう、個人差はあれど人はすぐに貰える報酬を過大評価する性質があります。

このような概念を経済学では「時間割引」あるいは「時間選好」と言います。

普通、早くお金が使えるほうが嬉しいものです。普通は(伏線)

そのお金でたとえば家具を買うなら1年早く使えますし、率直に投資すればその1年分の利息が付きますからね。

ある人にとって「今100万円貰う」のと「1年後に110万円を貰う」のが同程度の満足度である場合、その人は「1年でお金の価値は10%くらい目減りする」と考えていることになります

この目減りの割合が高いほど、「時間割引率が高い」というような言い方をします。

自分にとって時間割引率はどのくらいなのか? は一度考えて、把握しておきたいものです。

再び朝三暮四

と、ここで朝三暮四の話に戻って「時間割引」という概念を踏まえて考えます。

するともう、「朝に3つ、夕方に4つ」よりも「朝に4つ、夕方に3つ」の方が得じゃん。ちょっとだけ。となるじゃないですか。

なので合計数が同じだからと言って猿をバカにするのは違うのでは? と思うわけです。

そもそも、この猿達は人語を理解している時点で明らかに賢いですし(2度目)。

という考えから、私の中では「朝三暮四」という言葉に納得がいかず、ほぼ使用禁止になっています。困ったものです。

時間割引が逆転した男

時間割引と言えば、以前会社でボーナスの支払い方についてこんな話がありました。

元々夏のボーナスと冬のボーナスはほぼ同額が支払われていたんですが、会社側が「夏のボーナスを多めに払うようにして、冬のボーナスの金額を固定化したい」と提案してきました。合計額は変わりません。

それについて職場でアンケートが取られたんですが、ほとんどの人は「合計額が変わらないなら問題ない。むしろ早くお金が貰えるなら嬉しい」といった感じで好意的な反応でした。

まさに時間割引の考え方で、頷ける話です。

ただ1人、変なことを言う人がいました。


「それは困る。早くお金を貰ったら、使ってしまうから」


一体何を言っているのか。

この人にとっては、時間割引率が普通の人と逆転しているようなのです。

さっきの例を持ち出すなら「今100万円貰う」よりも「後で100万円貰う」を選ぶどころか、「後で90万円貰う」を選んでしまいかねない人種のようです。

これに私は衝撃を、そして価値観の破壊を受けました。

言うなれば「逆朝三暮四」です。


「お金は早く貰いたくない。使ってしまうから」


これがコペルニクス的転回というやつなのでしょうか。


それ以来、私は彼のことを「コペルニクスさん」と呼んでいます。

彼には財形貯蓄を勧めておきました。

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