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思考実験「わたしがするようにでなく、言うようにせよ」

こんばんは。夜中たわしです。

タイトルは、わたしがよく読み返している『100の思考実験』という書籍に含まれる思考実験の1つです。

当ブログで普段紹介している思考実験と比べると思考実験感(?)が薄いんですが、また別のベクトルで興味深い内容だったので紹介します。

わたしがするようにでなく、言うようにせよ

それは要約するとこんな内容です。


地球温暖化について非常に危惧している男性がいます。

彼が着目しているのは飛行機が地球温暖化に与える影響。

商業飛行で排出される二酸化炭素の量が、アフリカ大陸全体が排出する量を上回っていること、1回の長距離飛行が、車で12ヶ月旅行する以上に空気を汚染すること。

これらを世の中に伝え、飛行機の使用回数を減らすよう訴えかけるのが彼の役目です。

ただ彼が気がかりだったのは、その公演を世界各地で行うために自分自身が飛行機を利用しまくっていることでした。

おまいう案件

飛行機を利用する彼の行動は、ある意味正しいです。

世界各地の人々に対し公演を行うことで多くの人が飛行機の利用を減らせば、二酸化炭素の排出量に対し絶大な効果が得られるでしょう(一方で飛行機会社からすっごく嫌われるでしょう。乗せてもらえなくなるのでは?)。

そしてその効果と比べれば、彼が数回飛行機に乗ろうが乗るまいが二酸化炭素排出量への影響はもはや微々たるもの。地球温暖化のカウントダウンは1秒も変わりません。

ある種合理的な行動といえます。

ただやはり、飛行機に乗るなと言って回っている本人が飛行機にめっちゃ乗っているというのは……説得力が、すげー落ちる!!

いわゆる「お前が言うな案件」、略して「おまいう案件」です。

こんなにあるよ「おまいう案件」

これは、世の中にあふれています。

たとえばデスノートという作品があります。

この作品にはタイトルと同じ「デスノート」という、人の名前を書くだけで相手が死ぬひみつ道具が登場するんですが、このデスノートを手に入れた主人公、夜神月が世界から犯罪をなくすために犯罪者を殺しちゃうというストーリーになっています。

夜神月は完全に「わたしがするようにでなく、言うようにせよ」を体現していますね。

このように、いわゆるダークヒーロー系の作品は同様の構図が多く見られます。

現実でも、国が法律で殺人を禁止する一方で、国自身が「死刑」という殺人を行っているのも類似の問題でしょう。

世界レベルの話だと、各国の核の保持なんかが相当しそうです。

国同士で、「お前の国が核を捨てたら、こっちも核を捨てるから、はよ捨てて」「いやいや、そっちが先に捨ててくれたらこっちも捨てるよ」とか言ってますよね。しかも核を持ってない国がそれを攻め立てても返り討ちにあって終わりですからね。ソフトウェアで言えば、処理同士が競合して動作が停止してしまう「デッドロック」のような状態ですね。
(筆者の政治や歴史についての知識は著しく低いです)

ある意味、必要悪でやむを得ない状況も多々存在するでしょう。しかし大なり小なり「お前が言うな」と思われるのは避けられません。

自己矛盾や、ダブルスタンダードとも取れるような行動に打って出る場合は、それなりの覚悟と説得力が求められます。

ターミネーター2

「おまいう案件」で格好いい解決を見せたもので思い当たるのは、映画『ターミネーター2』です。(以降ネタバレを含みますが、20年以上前の作品なので今更いいでしょう)

『ターミネーター2』は、アーノルド・シュワルツネッガー(T-800)が親指を立てながら溶鉱炉に沈んでいくシーンが涙無しに見られないことで有名です。

アーノルド・シュワルツネッガーは未来からやってくるんですが、その目的はスカイネット(自我を持ったヤバいシステム)により引き起こされる核戦争を防ぐためです。

溶鉱炉に身を投じる理由は、アーノルド・シュワルツネッガー自身にもスカイネットを生み出すプロセッサが含まれているためです。

T-800は自分自身が「おまいう案件」そのものであることに気づいており、最終的に自らを溶鉱炉に投じたのです。文句の付け所がありません。

つまり、「お前が言うな」と言われないためには、最後に親指を立てながら溶鉱炉に沈んでいけばいいのはないでしょうか……!?

おわりに

さて、ここまでの話を踏まえて私がお伝えしたいのはただ1つ。

今回の記事に登場した『ターミネーター2』や『デスノート』は、見放題系の動画配信サービスHuluで配信されています。他にも多種多様な動画が配信されている魅力的なサービスなので、興味があればぜひ加入してみてください。初回は無料体験が可能です。

先日紹介した、現在放映中のドラマ『スーパーサラリーマン左江内氏』なども配信中です。

はい。聡明な読者の皆様ならお気づきかと思いますが、

もちろん私はHuluに加入していません。(夜中たわし:溶鉱炉にて)


以上、「わたしがするようにでなく、言うようにせよ」でした。

普通にHuluは素晴らしいんですが、地上波で録画している番組が増える一方で、ほとんど消化できていないんですもの……。

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