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『文学としてのドラゴンクエスト 日本とドラクエの30年史』感想

こんばんは、夜中たわしです。

こんな本を読みました。

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『文学としてのドラゴンクエスト』です。

はい。ジャケ買いです。

私はドラクエ1~9までをクリアしています(10はオンラインのため見送り)。

こんなもん、見かけたら買うでしょう。

なお本記事は、当然ながらドラクエのネタバレが含まれます。ご容赦ください(特にドラクエ3)。

文学としてのドラゴンクエスト

本書にはドラクエ1から現時点での最新作であるドラクエ10までについて、その制作背景、時代性、コンセプトなど、開発者である堀井雄二さんの考え、狙いについてフォーカスして分析されています。またドラクエ開発以前の堀井さんについても触れられていました。

何作かドラクエを遊んでいれば面白く、懐かしさを感じて読めると思います。

1作ごとの深掘りには若干物足りなさを感じましたがそれでも面白い!

ドラクエ1~3(通称ロト編)の構造の巧みさ。

ドラクエ4では、AIの実装によりキャラクターに自我が与えられたこと。

ドラクエ5の人生を、人間を描いた物語としての秀逸さ。ビアンカ、フローラどちらを選ぶかで多くのプレイヤーを悩ませた、あの没入感。

などなど、「あー、そうなんだよなー」と頷く部分がいくつも。

好きなゲームの物語の構造や、システムの狙いについての分析を読むのって楽しいなあ。

ドラクエ3のラストについて

本書で特に印象に残ったのは、ドラクエ3のラストについての分析です。

ドラクエ3のエンディングは、上下2つの世界をつないでいたギアガの大穴が閉じられ、主人公が上の世界に戻れなくなる、そして「ドラクエ1」に話が繋がるというものです。

非常にインパクトがあり、プレイヤーの評価も高いです。

著者もこのシナリオの巧妙さに言及しており、上の世界を「現実世界」下の世界を「フィクション世界」と捉え、ドラクエが「現実」から分離し、『ドラクエ1』という新しい時代を切り開くフィクションに続くものとして閉ざされることでハッピーエンドになるのだ、と分析しています。

(なお、上記が村上春樹の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』と対比して分析されていますが、申し訳ないことに私は村上春樹は読んでいないため、そちらについては特に何も言えません……)

ここは読んでいて非常に面白かった!

ですが私は知っているのです。

ドラクエ3のあの結末は、多忙を極めた堀井雄二さんがエンディングで世界中の人の祝福のセリフを用意することに耐えられず「わかった! 元の世界閉じちゃえ」という発想に至ったためだということを。

おわりに

まああの、ひとつ言っておきたいのは……どういった背景で作られたものであろうと、いいものはいいんだなー、ということです。はい。

そして本日発売日が決まって、予約も開始されたドラクエ11の発売が超楽しみだってことです! うひょーっ!!

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