こんばんは。夜中たわしです。
本日は、「ヘンペルのカラス」というパラドックス(厳密には疑似パラドックス)について紹介します。
ヘンペルのカラス
ヘンペルのカラスは、このようなものです。
まず「全てのカラスは黒い」ことを証明したいとします。
この際のアプローチとして、「全ての黒くないものはカラスでない」ことを証明すれば、「全てのカラスは黒い」ことを証明したことと全く同じというのが、ヘンペルのカラスの論法です。
そう、この方法を使えばカラスを1匹も調べることなく、カラスが黒いことを証明することが可能なのです!
この話をはじめて聞いたほとんどの方は、「???」となったのではないのでしょうか。私もです。
なぜわかりづらいのでしょう。
それはカラスが黒いかどうかなんて誰も興味ないからではないでしょうか。
なので、カラスをパンツに置き換えて考えてみます。
そうです。カラスが黒いことを証明する代わりに、気になるあの子のパンツが白いことを、パンツを見ずに証明してみましょう!
ヘンペルのパンツ
ヘンペルのカラスでは、黒くないもの全てを調査する必要がありました。
「全て」というのはこの宇宙にあるもの全てを指します。
無茶な話です。
想像を絶します。
なのでヘンペルのパンツでは範囲を限定します。場所は教室の一部屋だけとしましょう。
さて教室にはあなたと、気になるあの子の2人きりです。
ここで巨大な箱……白い箱と黒い箱を用意します。
白い箱には教室にある白いものを全て集めます。
そして黒い箱には教室にある白くないものを全て集めます。
この状態で、黒い箱の中身を全て確認しましょう。
そして、黒い箱の中から、あの子のパンツが見つからなかったら……おめでとうございます! パンツを直接確認することなく、あの子のパンツが白いことが証明されました!!
ヘンペルのカラスは、大体こういうことです。
箱にものを入れるのは誰か
さて、この証明のためには以下の状況を満たす必要があります。
- 白い箱には白いものが全て入っている
- 黒い箱には白くないものが全て入っている
誰がこの状態を担保するんでしょうか。
神様的な存在が勝手に振り分けてくれるなら問題ないですが、皆さんもご存知の通り神は死んだらしいので、神頼みはできません。
とすると気になるあの子に、
「今からパンツを見ずにパンツの色を当ててみせる。身につけているもののうち白いものを白い箱に、そうでないものを黒い箱に入れてくれ。そして自分自身も黒い箱に入ってくれ(肌色だから)!!」
とお願いすることになるのでしょうか。
幸運にもそれに従ってくれたとしても安心できません。その約束をあの子が守ってくれるとは限らず、黒いパンツを白い箱に容赦なく突っ込む可能性があります。
結局、あなたが振り分け作業を行うしかないのです。
あなたは教室にあるものすべてを振り分けます。
まず黒板消しを黒い箱に入れ、
チョークを白い箱に入れ、
しかし黄色いチョークは黒い箱に入れ、
机や椅子を汗だくになりながら黒い箱に入れ、
掃除用具の入ったロッカーをどうにかして黒い箱に入れ、
ついに身の回りにものがなくなったあなたは服を脱ぎ、
自分の服を黒い箱に入れ、
ズボンを黒い箱に入れ、
Tシャツを白い箱に入れ、
ブリーフを白い箱に入れます。
そして見事全裸になったあなたが気になるあの子のスカートの中に手を伸ばしたその時。
廊下を歩いていた教師に見つかり、あなたは無事退学する運びとなるのです。
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